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化学物質過敏症 - 香料の自粛を

2013年12月03日 00:20

 学校での香料自粛を  過敏症の生徒ら増加

 化学物質過敏症の当事者の団体や彼らを支援する市民団体が今月四日、文部科学省に「学校等における香料自粛に関する要望」を提出した。香料を使用した柔軟剤や制汗剤などで健康状態が悪化する学生や生徒が多いことを理由に挙げている。今後、他省庁にも香料を使った製品による健康被害の対策づくりを求めていく

 要望したのは、香料自粛を求める会、化学物質問題市民研究会、日本消費者連盟関西グループ、反農薬東京グループの四団体。

 要望書は幼稚園や学校などに児童、生徒、学生らが持ち込む香料の強いにおいによって、頭痛、息苦しさ、不眠といった健康障害が起きていることを指摘。においのもととして洗剤、シャンプー、整髪料なども挙げた。

 要望に関わった関東地方の女性A子さんは、本人と高校生の子どもが化学物質過敏症。特に、子どもの学校内の対応が難しいという。学生らの衣類に付いた柔軟剤の香りのほか、更衣室で使われる制汗剤などでも体調が悪化。別室で自習することもある。

 このような事態が既にあるため、一番強く求めたのは強い香りが漂う製品の使用自粛。そのための校内への啓発ポスターの掲示や、香料による健康被害問題の啓発、教室内の換気の徹底なども要望した。ポスターは生徒向けや保護者向けなどの具体案も示している。

 実際に化学物質過敏症やアレルギー症状が出ている生徒、学生がいる場合には、いじめなどの二次的被害が生じないようにすることも求めた。文科省が自治体の教育委員会を指導し、教育現場に伝わるよう望んでいる。

 香料自粛を求める会の小沢祐子代表は「香料製品が氾濫している現状には歯止めをかけるべきだ。ただ、国が規制を導入するまでには因果関係の究明などに相当な時間がかかる。その間に問題が広がってはいけないとも思うので、われわれは関係省庁の取りうる対策を要望していきたい」と説明する。

 化学物質過敏症の原因物質として国が対策を打ち出しているものには、農薬や建材などがある。香料はそれ以前の段階。ただ、転機が訪れているようだ。

 国民生活センターは九月十九日、「柔軟剤の香りで体調が悪くなったと訴える相談が急増している」と発表した。各地の消費生活センターに寄せられた柔軟剤のにおいに関する相談のうち、体調悪化を訴える危害情報は、二〇〇九年度は四件にすぎなかったが、一二年度は四十一件に急増。本年度はさらに伸び、九月以降だけでも五十件を超えている。

 同センターは、体調不良になる原因を不明としている。A子さんは「物足りないが、国の取り組みの最初の一歩だとは思う」と感想を述べる。

             - 中日新聞より引用 -



う~ん、難しい問題ですね(- -;)

“化学物質過敏症”と“匂い”は、また別の問題なような気もしますが…。

悪臭のなかに入れば気分が悪くなるのは当たり前のように、個人差があるにしろ匂いによって体調が悪化するのは仕方がないことだと思います。

だから、「柔軟剤や香水などの臭いが苦手な人がいるので互いに配慮しましょう」というのはわかりますが、そこになぜ化学物質過敏症を一緒にもってくるのか。

まぁ、これはあくまで個人的な意見なので、まずは化学物質過敏症について説明しておきます。


化学物質過敏症とは、非常に微量の薬物や化学物質の暴露によって健康被害が引き起こされるとする疾病概念。とされています。

さまざまな種類の微量化学物質に反応して症状が引き起こされるもので、発症原因、症状、その進行・回復速度や度合いも人によって多種多様で、個人差が大きいのも特徴です。

人によって症状の出方はさまざまですが、具体的症状としては、結膜炎 / 鼻炎 / 咽頭炎 / 皮膚炎 / 気管支炎 / 喘息 / 動悸 / 不整脈 / 発汗異常 / 頭痛 / 発熱 / 手足の冷え / 下痢 / 便秘 / 運動障害 / 四肢末端の知覚障害 / 痙攣 / 不眠 / うつ状態 / 記憶困難 / 集中困難 など。


ただ、化学物質過敏症は症状を説明できる単一の検査法がなく、中毒やアレルギーを含む免疫機序では説明ができない原因不明の疾患であることから、化学物質過敏症を特定の疾患と認めることに否定的な意見もあります。

微量の化学物質が多彩な症状を引き起こしているとする客観的な証拠がなく、においや先入観により引き起こされる心因性なものとして、「化学物質過敏症」という名称自体が適当でないとも言われています。


しかし、いくら検査が出来なくとも、症状が出ている本人はツライのは、よくわかります。。。

建物の建設や家具製造の際に利用される接着剤や塗料などによって引き起こさせられるシックハウス症候群というものがあるように、化学物質によって起こるものはあると思います。
(ちなみにシックハウス症候群は「住宅由来の健康被害の総称」であるため、概念自体が未確定で「化学物質の暴露による健康被害」である化学物質過敏症とは、厳密には異なる概念のものらしいです^^;)

こういったものの苦しみは当事者にしかわからないということがあります。

なにげないことで症状が出て、まわりからは「こんなことで?」と思われがちですが、本人は本当につらいのです。

私もアレルギー持ちなのでよくわかりますが…

例えば、修学旅行の定番である枕投げですが、そんなものをやられた日には涙・鼻水・くしゃみが止まらなくなり、気管支が腫れて喘息の症状が出てしまいます。大丈夫な子は楽しくてたまらないので、いくら「止めて」と言っても止めてもらえず、その場に居られなくなってしまいます。しかも、ホコリなどは空中を何時間も舞い続けるために、枕投げが終わり、さぁ就寝と言われてもそんな部屋で寝ることはできないのです…。

だから、普通のひとが反応しない化学物質に反応してしまって苦しんでいる人がいる。ということは理解できます。
検査では出なくても症状が出ているなんてものもたくさんあるわけですし。

ただ理解はできるが、まだまだよくわかっていないのが化学物質過敏症というものなのです。。。


だからこそ、今回のニュースのように“化学物質過敏症”と“香料”を結びつけて自粛をもとめるのはどうかと思います。

現在では、さきほども書きましたが匂いや先入観により引き起こされる心因性なものであるという意見や、「化学物質過敏症」として症状を一般化させ、患者の恐怖を煽る手法として、疑似科学・またそれを利用した商法の一種である。との指摘もあるように、まだまだ化学物質過敏症は確立も浸透もしていないものです。

無駄に“化学物質過敏症”という名前をつかうことは、むしろ化学物質過敏症の理解を遠ざけてしまいます。

柔軟剤や制汗剤だけでなく、生活する上で普通に“匂い”というものに私たちは敏感です。

香水・汗・タバコ・線香・防虫剤・ワキガなどなど、いろいろな匂いがあり、人によって好き嫌いもそれぞれです。

嫌いな匂いを嗅ぎ続ければ、化学物質過敏症でなくても、健康障害は出てきます。

なんでもかんでも、“化学物質過敏症”のせいにしていては、なかなか理解はされないと思います。

「匂いについての配慮を促す」ということは大切なことですが、今回のニュースはなんだか違うような気がして仕方ありません。。。

とはいえ、苦しんでいる方々もみえるわけですから、これからさらなる検討もしていかなくていけない難しい問題です。



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コメント

  1. ふなじん | URL | JC2HpeNc

    思い込みで判断しないで‥

    息子のクラスメートが9月から学校に来れなくなりました。私もそのときに、初めて化学物質過敏症を知りました。
    はじめは私もあなたのように、おもってました。気のせいじゃない?大げさだよ‥って
    でも、わずかな柔軟剤の香りで走っていていきなりよろけて転ぶんです。油性サインペンで白目むいてぶっ倒れてました。それを目の前で見たら、・・・
    その子はADHDでも心身症でもなく、化学物質過敏症の診断がおりました。

    まず、現実にクラスメートの香料・制汗剤で教室には入れず、学業継続が困難な児童生徒がいます。一般の人たちに化学物質過敏症という名前が自体が浸透していようがしていないかの問題ではないです。原因がはっきりしないからと言って疑似科学・商法まで話を結びつけるのはいかがなものでしょうか?「なんでもかんでも」といわれますが、今、世間であふれている香料の殆どか合成香料で、天然の香りを模倣しそれより強く長く香るように設計されています。場合によっては臭気濃度はゴミ処分場並みです。いわゆるよいにおいなので気づきにくいのですが総揮発性物質濃度も高くなります。
    体調不良も、気持ち悪いだけでなく、むしろ記憶障害・思考困難状態・瞳孔調節異常などの視覚症状・運動失調など、本当に勉強のできる体調ではないそうです。
    あまたの発言はそういったお子さんを切り捨ててもよいも取れる発言に聞こえます。

  2. JAKUTAKU | URL | srF/8RA2

    Re: 思い込みで判断しないで‥

    >ふなじんさん
    訪問・ご意見ありがとうございます。

    私の文章が稚拙なため、誤解を生んでしまったようなので、訂正させてもらいますが、私は化学物質依存症というものを認めている立場です。

    >疑似科学・商法まで話を結びつけるのはいかがなものでしょうか?
    と指摘されましたが、違います。
    世の中には、原因がはっきりしてないこの病気を利用して、この薬を飲めば治るとか、このマスクをつけていれば緩和できるとか言って騙してお金を稼いでる人たちがいるということを言いたかったのです。こういう人たちがいるということを書いておかなければ、化学物質依存症が誤解されて広まってしまう恐れもあると思って書きました。所詮、心理的なものだからそういったもので治るでしょ?と思われたらいけないわけですから。
    そこまで書いていなかったため誤解をうませてしまい、申し訳ありませんでした。

    ただ、>一般の人たちに化学物質過敏症という名前が自体が浸透していようがしていないかの問題ではないです。
    とおっしゃられますが、正しい理解を促すように発信しなければ、いつまでたっても心身症扱いされてしまうのでしょうか。すべてを化学物質と結びつけてしまうと、余計その傾向が強いように思います。
    食物アレルギーでさえ、いまやっと対応されるようになりましたが、まだ先生や家族の中にも好き嫌いの問題だと思っている人もいて、病気を認知させることは病気の悪化を防ぐためには必要なはずです。

    そして、あなたは切り捨ててもよいと思っているという指摘ですが、病気の存在を肯定しているとはいえ、現状での化学物質依存症の扱いについて賛否両面から書きたかったので、そうとられてしまわれたのかもしれません。賛も否もどっちの意見もとりあげておかないと、初めて知った人の考えの幅が広がらないと思ったのです。ひとつの側面だけでは誤解や勘違いを引き起こしかねないので。
    でも、最近の柔軟剤や制汗剤は匂いの持続を謳っており、そういうものが増えていることはわかっています。いまは匂いについて啓発を促す程度で、まだ個別に対応をとっていくのが現状の段階では仕方がないのではないのか。と私は思っていましたから、切り捨てているとそう言われて反省しています。
    確かに私もまだまだ認識ができていませんでした。
    ご指摘ありがとうございます。。

  3. | |

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  4. fos | URL | -

    こんにちは。

    化学物質過敏症については肯定しておられるのですね。一般のひとの嗅覚で考えると「だれだって気分が悪くなる」ってなってしまいますよね。でも、CSは病気なので嗅覚が一般のひととはまったく違うのですよ。だから、公共の場にひとりでも患者がいるのであれば、まわりは協力すべきだと思いますね。

    もちろん患者ではなくとも匂いが苦手なひともいるでしょう。でも、それはまた別な問題だと思いますね。

    学校に化学物質過敏症の子供が増えているんですよね。だったら、まわりは協力すべきでしょう。

    それから、心因性云々ですが、そういうことを言っているのはCSの治療とか研究に専念していないひとがほとんどですよ。

    CSの研究、仮説はこんなにあるんです。最新のオーストラリア政府の報告書のページだけを翻訳してみました。医学が専門なわけではないので誤訳もあるかもしれませんが。。。

    3 MECHANISMS OF MULTIPLE CHEMICAL SENSITIVITY
    3 多種化学物質過敏症のメカニズム
    3.1 OVERVIEW OF POSSIBLE MCS MODE (S) OF ACTION .................................20
    3.1 可能性のあるMCS作用機序についての概観
    3.1.1 Immunological dysregulation...................................................................21
    3.1.1 免疫学的異常疾患
    3.1.2 Respiratory disorder/neurogenic inflammation .........................................22
    3.1.2 呼吸器系障害/神経系炎症
    3.1.3 Limbic kindling/neural sensitisation .........................................................26
    3.1.3 大脳辺縁系燃え上がり(Limbic kindling)/神経系過敏化
    3.1.4 NMDA receptor activity and elevated nitric oxide and peroxynitrite............30
    3.1.4 NMDA受容体の活動ならびに酸化窒素、過酸化亜硝酸の高活性化
    3.1.5 Toxicant-induced loss of tolerance (TILT) ................................................32
    3.1.5 毒物誘因耐性喪失(TILT)
    3.1.6 Altered xenobiotic metabolism ................................................................33
    3.1.6 生体異物代謝の変化
    3.1.7 Behavioural conditioning..........................................................................36
    3.1.7 作用条件
    3.1.8 Psychological/psychiatric factors ..............................................................39
    3.1.8 心理学的、精神医学的要素
    3.1.9 Other proposed mechanisms ...................................................................43
    3.1.9 その他の提唱されたメカニズム
    3.2 FURTHER RESEARCH FOR ELUCIDATING MODE(S) OF ACTION.....................43
    3.2 作用機序を説明するさらなる研究
    3.2.1 Chemical initiators/triggers and biological gradients ..................................44
    3.2.1 化学物質トリガーと生物学的勾配
    3.2.2 Challenge studies for determining causation .............................................45
    3.2.2 因果関係を決定するための試験
    3.2.3 Investigations for key modes of action .....................................................48
    3.2.3 作用機序を解明するために

    身体性の疾患、心理的要因、脳医学、毒物、アレルギーなどなどあらゆる方面から研究が進められています。それでも、まだ仮説の段階なんですよね。だから、医学的に認められていない、と。

    わたしの印象だと、「空気、食物などから体内に侵入した化学物質(人工、天然どちらもあり)がなんらかの形で脳の大脳辺縁系(嗅覚、記憶,感情などなどとても重要な働きをするところ)に侵入し、それが原因で体中のあちこちに深刻な症状が現われる病気」だと思います。

    たんなる心の病気ではないですね。

    たとえば、嗅覚が異常なまでに過敏になったらどうなるか? この世にはありとあらゆる匂いがあふれていますよね。そして、その匂いを嗅ぐたびに体調が悪化するとしたらどうなると思いますか。まともな生活は送れません。

    厄介なのは「ひとによって反応する物質が異なること」「ひとによって症状が異なること」です。反応する物質の数が少なければある程度は人並みの生活が送れますが、反応する物質の数が増えるにつれ普通の生活が送れなくなります。

    検査方法についても研究が進んでいますよ。患者は「二重盲験法では検査はむずかしい」と主張していますが、そのことについてもこの報告書に書いてあって、より完全な検査をするにはどうすればいいか、という考察もなされています。

  5. みさみさ | URL | -

    柔軟剤や香水に入っている物質は化学物質です

    こんばんは。

    私も3か月ほど前までは同じ感想を持っていました。

    職場にいる化学物質過敏症の方が匂いに敏感で、シャンプーや柔軟剤の『香り』で気分が悪くなると説明を受け、匂いが極端に苦手なんだと解釈していました。

    化学物質過敏症は有機リン中毒症と呼び名を変えた方がいいように思います。

    企業は猛反対するでしょうし、経済活動に関係していることは対応が遅れる傾向があるので、なかなか実現はしないように思いますが、、、。

    私は、半年前から原因不明の目、顔、舌、喉の痛みに悩んでいました。2ヶ月前より強い柔軟剤の香りと症状がリンクし、悪化することに気が付きました。1か月前から症状が進み、香りの強い柔軟剤を使っている同僚と立ち話をするだけで、呂律が回らなくなったり、眼がかすみ、気管支が炎症を起こします。150人単位の会議に参加した日には、喉が腫れて、切れ、吐血することもありました。

    つい先月、化学物質過敏症と診断を受けました。『有機リン中毒』であると説明を受けました。芳香剤、防虫剤、香水、柔軟剤等には高濃度の有機リン(化学物質の代表)が使われており、これらの症状がでると知りました。

    現在の残留香料には、たばこ同様に強い毒性がある事実は近い将来周知される気がします。

    私の症状の治療法は、2週間単位で複数試してみましたが、効果があったものは、解毒剤(=肝機能の補助薬)です。肝臓は毒物を解毒、排出する臓器です。漢方もためしてみましたが、舌と目と喉の痛みには効果がありませんでした。

    健康な人が揮発性の芳香物質を吸引した場合でも、私達腎臓や肝臓は解毒の作業を行っているそうです。

    一般の人に化学物質過敏症の存在を知ってもらうこと、『匂いが不快』以上のことが患者に起こっていることは私達にとって大きな救いにつながります。

    私は教師の仕事をしていますが、自分の仕事が大好きです。こんなことで大好きな仕事をあきらめたくないなあと思いネット検索をしていたおり、あなたのブログに行きつきました。

    化学物質過敏症の生徒は実際に教室にも存在しています。せめて学校という場では、ある程度規制を設けてもいいのではないかという思いに至りました。

    早速、職場に理解を求めていこうと思います。

    私達が仕事をし、友人と時間を共に過ごし、新鮮な空気を吸うために公園を散歩する時間をもてるか否かは周囲の理解に頼る部分が大きい。

    あなたのブログを読んだ時、少し希望が持てました。一緒にこの問題を考えてくれてありがとう。





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