2013年09月30日 23:11

◇ 電動車いすの交通事故
電動車いすは、高齢者の社会参加手段として普及しており、年間出荷台数もどんどん増加しています。
利用者が増加するに従い、それに関係する事故も当然増えています。

最近の5年間だけみても、年間200件前後の事故が起こっています。
しかも電動車いすは、道路交通法上では歩行者扱いなので、単独での事故・電動車いす同士の事故・電動車いすと歩行者の事故はこれに含まれず、実際にはもっと多くの事故が発生しているはずです。
また、高齢者の使用者が多いので、
・ 朝8時から夕方6時までの時間帯で多発
・ 事故全体のうち、負傷者は約7割、死者では約9割が65歳以上
・ 買物・通院・訪問・散歩を目的として利用した際に多く発生している
・ 事故の50%が自宅から500mの範囲内で起こっている
といった特徴が出ています。
◇ 電動車いすの運転
電動車いすの交通事故は増えていますし、歩行者・自転車とのトラブルも発生しています。。。
無茶な運転を避け、正しい取扱いをしなければいけません。
とくに電動車いすは道路交通法により「歩行者」とされているので、歩行者としてのルールを守らなくてはなりません。
「電動車いす」を利用する上での交通ルールや注意点をまとめました。
▽ 乗る前は必ず日常点検を
出かける前は必ず点検を行いましょう。とくにバッテリーの残量の確認は大切で、残量が少ないまま出かけてしまうと、途中でバッテリーが切れて動けなくなってしまいます。交通事故にも繋がるので必ず確認してください。
また、背中が背もたれに付くように座席に深く座り、肘掛けをきちんと下ろしてください。後方確認のためのバックミラーを調節し、前進・後進・最高速度の設定を確認してから出かけましょう
▽ 初めて運転するときは 広く安全な場所で、十分に練習を
運転免許がいらないとはいえ、モーターのついた乗り物です。いきなり道路に出るのはとても危険です。電動車いすの操作や速度に慣れるためには十分な練習が必要で、始めのうちは速度を「低速」に設定し、公園などの広く安全な場所で練習をしてください。
最近では、製造・販売事業者などが行う運転講習会というものもあるので参加して特性や乗り方を覚えましょう。また、初めて道路に出るときは必ず介助者に同行してもらい、交通ルールや安全な走行順路を確認して慣れることが事故防止のもとです。
▽ 歩行者と同じ歩行通路を…
歩行者と同じように、歩道や路側帯を通りましょう。歩道や路側帯がないときは、道路の右側を通るようにしてください。
通行するときは、歩行者や自転車、路肩の車に十分注意し、進行方向に障害物があるときは、一旦停止して前後の安全を確認してから通りましょう。自動車などが近づいているときも、一旦停止して自動車が通過するのを待ち、前後の安全を確認してから通行してください。電動車いすは、急にスピードをあげられない構造なので無理をしてはいけません。
▽ 曲がるときは余裕をもって
曲がるときは、内側の後輪が、前輪よりもさらに内側を通ります。この内輪差を計算に入れて曲がらないと、後輪が脱輪して側溝に落ちたり、縁石に乗り上げてして転倒する危険性があります。曲がり角を曲がる際には、内側と外側の両方に気を配り、安全に曲がるためにあまり小さく曲がらないで、内輪差を計算に入れて余裕を持って曲がりましょう。
▽ 道路を横断するときは信号機のあるところを渡り、ないときは直角に
遠回りでも、横断歩道や信号機のある交差点をなるべく使い、横断歩道を利用してください。横断歩道のない場所では、見通しの良い場所で左右の安全を確認し、道路を横断するときは、必ず道路に対して直角に横断してください。斜めに横断すると、道路を横断するまでに時間が掛かるため危険です。
また、信号機が[青]でも横断中に[赤]に変わり、渡りきれないことがあります。スピードが出ないことを理解し、すでに青信号の場合は次の[青]になるまで待ちましょう。
▽ 坂道の運転は気をつけましょう
坂道はよほどの急勾配でないかぎり電動車いすでも走行可能で、道路の状況に応じて安全な速度で走行してください。ただ、利用者の身体状況・利用する周辺道路状況によっては、走行できる坂道とできない坂道とがあるので、介助者と相談しながら回避できる坂道は回避することも大切です。
また、電動車いすはクラッチを切ることで手押し移動することができる仕組みになっていますが、坂道では絶対にクラッチを切らないでください。勝手に転がっていってしまいますので、平坦なところ以外では切らないようにしましょう。
▽ 傾斜のあるところは気をつけましょう
急な坂道だけではなく、斜めに急に傾いている道路の走行は避けてください。転倒してケガをする危険があります。通行可能な傾斜角度は約5°ですが、購入した電動車いすの取扱説明書で確認してください。傾斜地を通行するときは、ハンドルをしっかりと握り、身体の重心を斜面の高い方へかけながら運転するのがコツです。斜面の低い方へ重心をかけると、バランスを崩し転倒しやすいので、斜面の高い方に身体を傾けてください。交差点付近も傾斜になっていることが多いので注意しましょう。。。
▽ 段差・溝・線路の走行は気をつけて
乗り越えられない段差や溝、線路を無理に通過しようとすると、転倒したり溝にはまって動けなくなったりする可能性があるので気とつけましょう。段差や溝を乗り越える場合には、前輪タイヤを段差・溝・線路に対して直角になるようにしてハンドルを両手でしっかりと握って乗り越えてください。
段差や溝を乗り越える性能については、機種によって大きく変わってくるので、一度その性能を確認してくださいね。
▽ 危険な場所の走行は避けましょう。
遠回りになるかもしれませんが、危険なところは初めから避けたほうが懸命です。電動車いすも重いですからトラブルがあっても対処しにくく、交通事故にあってしまっては本末転倒です。砂利道、滑りやすい場所、舗装されていない道では乗らないようにしましょう。また、悪天候や夜間の運転は控えたほうがいいでしょう。
▽ お店のなかは特に注意を
歩行者扱いとはいえ、機械と人間とでは人間が怪我をします。お店のなかでは、低速(1~2km/h)にして、周りの人に充分注意して走行しましょう。お店によっては入れないところも多いので、施設管理者の指示に従ってくださいね。
また、自動ドアを通過するときは、周りの人やドアの動きに注意して、ゆっくりと走行しましょう。
▼ 危険な乗り方はしない!怪我や事故を防ぐための禁止事項
・ 乗ったまま物を拾うなど身体を乗り出すような行為はしない。
・ 2人乗りや荷物の牽引はしないでください。
・ 走行中の携帯電話の使用は絶対にしない。
・ 傘をさしながらの運転もやめましょう。
・ お酒を飲んだら絶対に乗らない!!
・ 眠気を催す薬を飲んだあとも絶対に利用しないでください。
・ 暴走運転はしない!
・ 歩行者とは一定の距離をとり、譲り合いの精神を。
「当たり前のことだ。」と思えることのほうが多かったと思いますが、これらを守ることが大事なのです。
自動車もそうですが、当たり前のことを守れなかったときに事故の確率がグンと上がります。
電動車いすは、運転免許証を必要とせずに簡単に利用できますが、正しく利用しないとトラブルや悲しい事故に遭う危険性も高いことを忘れないで下さい。
もちろん、まわりも電動車いすに注意・気配りをしないといけませんよね^^
自動車・自転車の運転手は、電動車いすが視野に入った時は最大限に動静を注視しなくてはいけませんし、歩行者も避けたり譲ったりするようにしなければいけません。
利用者もまわりも、どっちも気をつけることが事故防止に繋がります。。。
≫≫ 次へつづく
[[ 目次 / 全記事はこちらから ]]
↓役に立った・わかりやすかったなど、よかったらポチッとヨロシクお願いしますm(_ _)m


コメント
コメントの投稿