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ピック病とルーティン化療法

2013年01月16日 23:47


日本では若年者から高齢者まで、300万人超の認知症患者がいるといいます。

一口に認知症といっても色々な種類があり、もっとも多く一般的によくイメージされる物忘れなどの記憶障害は「アルツハイマー型認知症」ですが、本人が気づかないうちに人格が変わり万引きや痴漢など危険な行動をとる「ピック病」というものがあります。

前頭側頭葉変性性認知症(ピック病)は、思考や意思などに関わる前頭葉、言語の記憶や理解力に関わる側頭葉の機能が低下していき、性格の変化や理解不能な行動を特徴とする病気です。

アルツハイマー病のような記憶障害、見当識障害(時間、場所などが理解できない)は見られず、自制力が低下したり、人格が変わったり、さまざまな問題行動が出ることが多いです。

ピック病の発症ケースは少なく、アルツハイマー病の1/3~1/10だと言われており、現在、日本国内に1万人以上のピック病患者がいると推定されています。
40代~50代にピークがあり、アルツハイマー病の平均発症年齢が52歳なのに対し、ピック病の平均発症年齢は49歳で3年ほど早めです。

しかし、CTやMRIで診断されるが、ピック病を正しく診断できる医師が少ないため、アルツハイマー病と誤診されたり、うつ病や統合失調症と間違えられ、診断のばらつきも指摘されており、患者数も諸説あります。
原因や治療法はまだ十分に分かっていないのが現状なのです。。。

そんなピック病ですが、少しでも生活を安定させるためにある試みが広まりつつあります↓

  若年性認知症の一つ ピック病 
        早期に「良い習慣」づけを 


  自制力低下し、トラブル  

 若年性認知症の1つ、ピック病(前頭側頭型認知症)は、感情や欲求の抑えが利かなくなり、コミュニケーションの力も落ちていく病気だ。患者が混乱して暴れたり、徘徊(はいかい)や万引を繰り返したりして、介護者が疲れ果てることも多い。ピック病に特徴的な「こだわり」をうまく生かし、生活習慣を安定させていく「ルーティン化療法」が少しずつ広がってきた。名古屋市中川区のグループホーム「はるた」が取り組んだ例を紹介する。 (編集委員・安藤明夫)

  施設での取り組み こだわりを逆手に

 浅井富子さん(69)は、「はるた」で一番の働き者だ。

 朝は自室に掃除機をかけ、午後は洗濯物を畳み、夕食の準備に野菜を刻む。いつも無表情で会話もできないが、職員の言葉はよく理解して動く。「白菜は軟らかい部分と硬い部分とで、ちゃんと切り方を変えるんです」と、職員は富子さんの丁寧な仕事ぶりに驚く。
 自室のパチンコ台で遊ぶことも。パチンコが趣味だった富子さんのために、夫の一夫さん(71)が、施設管理者の鬼頭恵津子さんと相談して購入した。「こんなに落ち着いてくれるなんて、夢のよう」。一夫さんはしみじみと話す。

 元看護師の富子さんが、ピック病を発症したのは7年前。近所の家に無断で上がり込んだり、コンロに火をつけたまま外出したりと、目が離せなくなった。不要な物を買い込む癖も出て、やがてはスーパーやコンビニからお金を払わずに商品を持ち出し、たびたび警察の世話になった。
 一夫さんはデイサービスを利用しながら世話をしてきたが、在宅介護が難しくなり、2年前の夏に精神科病院へ。富子さんは混乱して暴れるようになり、見かねた一夫さんが、知り合いの老人保健施設に入れてもらったが、激しい徘徊などに職員たちが疲れ果ててしまった。

 はるたに、富子さんの入所の相談が来たのは昨年春。鬼頭さんは、勉強会で学んだ「ルーティン化療法」を試すことを思い立った。

 何かにこだわり、同じことを繰り返す「常同行動」がピック病の症状の1つ。それを利用して、毎日のスケジュールを固定し、「悪い習慣」を「問題のない習慣」に変えていくのが、この療法の骨子だ。

 鬼頭さんは、興奮を抑える向精神薬を最小限にして、散歩、職員の手伝いなどを日程に組み入れた。一夫さんの協力で、昼食後のドライブも毎日の習慣にした。
 パチンコ台も効果的だった。元気なころは、ギャンブル性の低い1円パチンコによく行っていたが、発症後は他人の席に勝手に座るなどのトラブルを起こし、行けなくなっていた。お気に入りの機種が自室に置かれ、富子さんは、職員の忙しい時間帯を一人で過ごすようになり、安定していった。

 鬼頭さんは「うまくいったのは、スタッフ全員で取り組んだのと、ご主人の献身的な協力があったから。ピック病は誤解や偏見が強く、本人も家族も苦しんでいる。地域社会でも介護の現場でも、正しい理解が広がってほしい」と話す。

 ルーティン化療法は、熊本大教授の池田学さん、元愛媛大教授の故・田辺敬貴さんや作業療法士らが中心となり、十数年前から研究が進んできた。
 研究室のメンバーで、浅香山病院(堺市)の繁信和恵医師は「ルーティン化療法という言葉は、学習会などでかなり知られるようになったと思う。ただ、施設のスタッフ全員が認識して取り組む必要があり、態勢づくりはまだまだ」と話す。

 理想は、診断後の早い時期からデイサービスセンターなどで、同療法に取り組むこと。初期の方が「良い習慣づくり」も容易で、生活上のトラブルの防止につながり、長く社会生活を送れる可能性があるという

       - 中日新聞より引用 -


記銘力・記憶力低下などの知的機能低下が初発症状に表れるアルツハイマー型認知症と違い、ピック病の初期は記憶・見当識・計算力は保たれています。

そして、人格障害として、例えば人を無視した態度、診察に対して非協力、不真面目な態度、ひねくれた態度、人を馬鹿にした態度などをとるが、本人に病識はありません。

そのため、患者や患者をとりまく家族の精神的苦痛が大きく、また病気の認知度の低さからなかなか周囲や世間に理解してもらえないことによる苦悩もかかえています。

まずは、家族や社会全体でピック病に対する知識や認知が広がり、新しい治療法が開発されていくまで患者をサポートしていく今回のような取り組みが必要なのだと思います。。。


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