2012年05月24日 22:56
血液採取のみで早期がん判定
新技術、金沢大病院が開発
消化器系に威力 高額がネック
数ミリリットルの血液で消化器の早期がんの有無を判定する「マイクロアレイ血液検査」と呼ばれる新検査法を、がん検診に取り入れる病院が北陸地方を中心に増えている。自由診療のため6万~10万円と高額だが、従来の検査と組み合わせて納得できるまで体をチェックしたいという人が受診している。検診結果をどう理解すればいいのか、メリットの大きい人はどんな人か、探った。(林勝)
「新しい技術なので、受診者のがんに対する理解度に合わせた丁寧な説明を心がけています」。5月から、胃と大腸、膵臓(すいぞう)、胆道の4臓器のがんの血液検査を導入した富山県砺波市の市立砺波総合病院・健診センター所長の滝鈴佳医師は強調する。開始前から、報道で知ったという約20人の予約が入った。採血の前に面談し、検査の仕組みや結果の受け止め方など、説明書を示して解説する。
人間ドック専門の中之島クリニック(大阪市)も、この検査にいち早く注目し、昨年9月に採用。過去の受診者に案内したところ、約100人が検査を受けた。ほとんど陰性で、最近、早期発見が難しい膵臓がんの疑いを示す陽性例が初めて出た。田辺卓爾医師は「精密検査をし、きっちり経過をみていくよう促したい。早期に適切な治療を受けてもらえるようにするのが私たちの務め」と語る。
この検査の最大の特長は、感度の高さにあるという。臨床試験では、既に消化器のがんと診断された約150人の血液を調べ、98%以上を「陽性」と判定。逆に、がんでない人の血液は、90%以上を「陰性」と判定した。従来の検査の感度を大きく上回る。
例えば便潜血検査は、仮に早期大腸がんがある100人に実施しても、数人が分かる程度。がん以外の原因で大便に血が混じることも多く、滝医師は「負担が大きい内視鏡を大勢の健康な人が受けている」と指摘する。
血液中の腫瘍マーカー検査は、がんの進行度や再発を診るのには有効性が高いが、一部を除き、早期がんの発見にはあまり役に立たない。がん検診で、コンピューター断層撮影(CT)やポジトロン断層法(PET)などの画像診断を受ける人も多いが、がんが小さいと発見できないことがある。
一方、新しい検査は、がんの有無を判定する能力は高いが、血液を手がかりとするため、がんの位置の特定は苦手。胃、大腸、膵臓、胆道のどの臓器にがんがあるかを7割の確率で当てられるが、臓器の中の位置までは分からない。肺や乳房、子宮などの臓器のがんは研究段階で、まだ対象にはなっていない。
また、がんの治療中か治療後2年以内▽胃・大腸ポリープ切除後2年以内▽B型とC型の慢性肝炎▽特定の薬物やワクチンの投与-の場合は「陽性」と出やすく、検査の意味があまりない。
逆に、がんにかかった血縁者のいる人や、喫煙・飲酒の量が多い、長期にわたる便通異常などがある人には、検査のメリットが大きくなる。
陽性の判定が出たら、位置を確定するため、内視鏡や画像診断などの精密検査が必要になる。がんが小さすぎて見つからない場合もあり、滝医師は「その場合は、定期的に精密検査をしていくことが重要になる」と話す。
仕組みは? 免疫細胞の変化とらえる
新しい血液検査では、がんを直接探すのではなく、がんの発生に敏感に反応する免疫細胞の変化を巧みにとらえる。
仕組みを開発した金沢大病院の金子周一教授(消化器内科)は「免疫細胞は血液で全身を巡り、異常を監視している。小さながんでも、がん細胞は何十億、何百億個とあるので、免疫細胞は大騒ぎする。これを調べるため感度の高い検査が実現できた」という。
がん患者の免疫細胞は、がん細胞の増殖を防ごうと、多くの遺伝子の活動を活発にしたり、抑制したりすることが分かっている。この変化のパターンの解析が検査の鍵。あらかじめ、がんかどうか分かっている臨床試験では、新検査の実力が裏付けられた。
しかし、検査は始まったばかりで、一般受診者からがんを発見した数はまだ少ない。金子教授は「検診の数を増やし、データを積み上げていくしかない」と語る。現在は、検査の価値を認めた24の医療機関で実施している。
金子教授との共同研究で、検査法を開発した石川県野々市市のバイオベンチャー・キュービクス社の丹野博社長は「コストダウンと消化器以外のがんへの適用も進めている」と話す。同社のホームページで、検査を受け付けている医療機関が紹介されている。
- 中日新聞 より引用 -
まだまだ始まったばかりの技術で、問題もあると思いますが、がんの早期発見につながる技術が新たに出てきたことはとてもよいことだと思います。
今回の記事をまとめてみると・・・
○ 数mlの血液で早期がんの有無を判定できるため、簡単で負担が少ない。
○ 従来の検査より消化器のがんの有無を判定する能力が高い。
○ がんにかかった血縁者のいる人・喫煙・飲酒の量が多い・長期にわたる便通異常などがある人には、検査のメリットが大きい。
× 自由診療のため6万~10万円と高額。
× 臓器の中の位置までは分からない。
× 肺や乳房、子宮などの臓器のがんは研究段階で、まだ対象にはなっていない。
× 「陽性」と出やすい条件の場合もある。
どんな検査もメリット・デメリットがあります。
それを把握した上で、従来の検査と組み合わせながら検査していくことが大切になります。
会社の健康診断や人間ドックなどで、メンドクサイ検査をいろいろと受けるわけですが、それが簡単で負担が少ない方法になればありがたい反面、対象にならないがんは検出できず、詳しい検査は結局CTなどを受けないといけないなど、デメリットもあるわけです。
血液を使ったがんの検査である腫瘍マーカーも腫瘍マーカー単独でがんを診断することは難しいとされ、現状ではがん診断の補助的な検査や治療後の経過観察の検査として使用されているように、メリットとデメリットを把握して組み合わせて検査に使っているのです。
・・・とはいえ、こういったことは医療機関が判断するものだと思います^^;
しかし、検査を受ける私たちも、こういった検査があること・どういったもののためにあるものなのかを知っておくことは大切ではないでしょうか。
なにも知らず、むやみに検査を受けるだけでは、結果を待つだけで多大なストレスを受けかねません。
検査は頻繁に行うものではなく、本当に必要な時に必要な検査を受ければ十分なので、いろいろと検査について知っておくことは大切です。。。
ちょこっと脱線しました^^;
なにはともあれ、あくまでまだまだ始まったばかりの検査方法で、一般受診者からがんを発見した数はまだ少ないです。
こうした検査方法の精度が増し、費用が安くなり、消化器系のがんを調べるときの簡単で負担が少ない検査になればと思いますね^^
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