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医療の進歩と死生観

2012年03月26日 23:30

いま、医療の進歩によってかなり寿命が延びました。

2010年の日本人の平均寿命は女性が86.39歳、男性が79.64歳。

これは、女性では世界1位、男性では世界4位です。

ここまで伸びた理由は、やはり医療が進歩したからと言わざるを得ません。

しかし、それに伴い私たちは、“ どう生きるか・どうやって死を迎えるか ” を考えなくてはいけなくなってきたように思います。。。


いま、ほんとうに死というものが遠くなりました。
(色んな人がみえると思うのでこの表現で気分を悪くされた方がいたらすみません)

一昔前は、すぐに亡くなってしまう病気がたくさんありましたが、医療の進歩に伴い、その数は減ってきました。

たとえば、糖尿病で透析になったら、昔は5年後に生きている人は半数といわれていましたが、いまでは透析技術が進み、寿命を全うするぐらいまで生存する方は珍しくなくなりました。
(糖尿病性腎症から透析はすこし話が変わってきますが^^;)

癌も昔は、死の病・不治の病などとして恐れられてきましたが、まず診察技術の発展・健康診断の普及により早期発見されるようになり、簡単な手術で助かることが多くなりました。

そして、手術の技術・方法の進歩により、昔よりも重度でも助かる確率が高くなりました。

また、脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・狭心症など脳や心臓に関する病気も、治療技術の進歩により助かる確率が増えたのは間違いありません。


つまり、昔はすぐに亡くなってしまう病気が、いまではそうでなくなってきたものが多くなったのです。

それは、“昔なら死んでもおかしくない病気を複数かかえる時代になった。” と言い換えることが出来ると思います。。。

糖尿病で、ガンの手術も受けて、そして心臓病が今度みつかった。なんて人が本当に多くなりました。

3つ、4つも病気を持ちながら、余生を過ごすことができる。

これは医療の進歩のおかげであり、ほんとうに素晴らしいことだと思います(医療費の問題はこの際置いておいて)。

しかし、だからこそ、いま“ どう生きるか・どうやって死を迎えるか ”を考える必要に迫られているのです。


いままでの現代医療は、「1分1秒でも長生きさせる」ということに、全身全霊をかけてきました。

ガンの手術を受け、放射線を浴び、抗がん剤を打つ。
そして、本人が苦しくても、点滴やモルヒネをうち、胃に栄養剤を流し込んで生き延びさせる。

そんながん患者が多いですが、これは「1分1秒でも長生きさせる」ということに合致しているし、その結果でありスタンダードな例です。

こんな例をもってきているから、悪い印象を受けるかもしれませんが、不治の病・難病として恐れられてきた病気たちとの現代医学の戦いの結果であり、非難してはいけません。

「1分1秒でも長生きさせる」というコンセプトにより、いまの長寿があるわけですから。

ただ、3・4つも病気を持ちながら本人の意思と関係なく、延命治療を続けるという時代は、もう終わりなのではないかと思うのです。

ガンの手術を受け、放射線を浴び、抗がん剤を打ったが、結局治らず、抗がん剤の副作用で体はもうボロボロ。それで最後はモルヒネにより、意識朦朧のうちに死んでいく。

それがよい死のなのでしょうか。

もちろん、一切の治療をするなと言いたいわけではありません^^;

長く生き延びることができてしまうからこそ、自分の死をみつめ、どうするかを考える必要がある。といいたいのです。


その傾向は、本屋でもみることが出来ると思います。

最近、本屋をのぞいてみると、驚くほど死に関係する本がピックアップされています。

終末医療関係だけでなく、死ぬ前にしたいこと・死ぬ前にしておく整理法や遺言の書き方など様々です。

長生きや医療そのものを否定するような過激なものもあります。

これは超高齢化社会によって、死をみつめ、考えるということをしなくてはいけない時代になってきているのかもしれません。



もう一度書きますが、日本は世界でも上位の長寿国です。

そして、昔なら死んでもおかしくない病気を複数かかえる時代です。

だからこそ、“ どう生きるか・どうやって死を迎えるか ” を考えなくてはいけません。

自分自身のこと・家族のこと・余生の過ごし方。

1秒でも長くいきたい・死ぬ前後は迷惑をかけたくない・旅行にいけるだけ行きたいなど、人によって考えかたは違います。

私の知り合いの医師は、「ガンで死にたい」と言います。

それは心筋梗塞だと何の準備もなく死んでしまうが、ガンなら時間的な余裕があり、周りの人にも挨拶ができるし、自分や家族が身辺や心の整理ができるから。

そして、ガンは亡くなる少し前まで意識がはっきりしているので、下手な延命治療はせず、ギリギリまで仕事をする。

ガンになるかどうかはわかりませんが、そういった死に方を考える人もいます。


これは、自分で選択することであり、押し付けではないのです。

普段目を背けがちなことを、この機会に考え、よりよい自分なりの死生観をつくっていかなくては、ただ死を待つだけになってしまいます。

死を考えることで、いまをどう生きるかを考えることができるとも言えます。

どう生きるか・どうやって死を迎えるかを自分で考え、選択することが大切なのだと思います。

医療の進歩にともない、こういったことを考えなくてはいけない時代になってきたのではないでしょうか。。。



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コメント

  1. 誰もがたどる高齢者への道

    >“ どう生きるか・どうやって死を迎えるか ” を考えなくてはいけません。

    同感です!!

    「人生の扉」(竹内まりや)にもありますが、春の桜や秋の紅葉をあと何回見ることが出来るかと考えると、「より良く生きたい」と痛感します。

    誰でもその時を迎えます。しかし、それまでは「他者に依存しない自立した人生」を送りたいものです。

    私も健康についてブログに書きたいと思います。その際に記事を参考にさせて貰います。ありがとうございました。

  2. JAKUTAKU | URL | srF/8RA2

    Re: 誰もがたどる高齢者への道

    >クレーマー&クレーマーさん
    返信が遅くなって申し訳ありません。
    コメントありがとうございますv-266

    最近思っていたことを書いてみたのですが、参考になったのなら幸いです^^

    いつ誰がどう亡くなるかはわかりません。
    >春の桜や秋の紅葉をあと何回見ることが出来るか。
    ほんと、その通りだと思います。

    だからこそ、普段避けがちな死に方ということを考えることは大切なのだと思います。
    死に方を考えるということは、生き方を考えるということでもあるのですから^^

    クレーマー&クレーマーが思っている
    >他者に依存しない自立した人生
    というのも、またひとつの生き方の例ですね^^

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