2012年02月03日 23:09
痛みを招く手の酷使 楽器演奏で高頻度 音楽家外来で治療を
もっと良い演奏をしたい。その一心で励んだ楽器の練習が、手に過度の負担を強いて、痛みなどの障害を引き起こすことがある。特に高度な技術が求められ、手を酷使するプロの演奏家は、人知れず悩んでいる人が少なくないという。大事な手にメスを入れたくない、練習を休んで演奏レベルを下げたくない―。そんな願いに応える「音楽家専門外来」がある。
▽激痛で目覚め
「左手首に痛みを感じ始めたのは昨年5月。自宅近くの整形外科で、けんしょう炎と診断されました」。名古屋市を拠点に演奏活動を続けるピアニストの真紀さん(52)=仮名=は、不安に揺れた日々を振り返る。
症状は次第にひどくなり、朝方、激痛で目が覚めるほどに。「手首が曲げられず、お皿も洗えない状態でした」
演奏会の仕事はすべて断った。大学でのピアノ指導は左手を使わずにこなした。指の繊細な動きが失われるのではという心配から、注射による治療を何とか避けようと、整体やマッサージにも足しげく通った。だが、治らなかった。「もう、ステージには立てないのかなと思い詰めました」
そのころ人づてに知ったのが、昨年6月に開設された東京女子医大青山病院 整形外科の音楽家専門外来。宇都宮大工学部教授も務める担当の酒井直隆医師は、1984年に横浜市立大病院で日本初の専門外来を開き、国内外の1500人以上を診療した実績があった。7月下旬、真紀さんはすがる思いで受診した。
▽オクターブ
「演奏家に手の障害がどのくらい起きているのか、国内の実態はよく分かりません。故障があれば、ほかの人に取って代わられ、演奏の場を失いかねない。調査しても本音を言わないのです」と酒井さん。ただ、海外では半分以上との報告もあり「高頻度であることは間違いない」と話す。
演奏人口の多いピアノは患者も多い。酒井さんのデータでは、ピアニストに最も多いのはけんしょう炎で31%。次いで筋肉が骨にくっついている部分が炎症を起こす付着部炎(24%)、筋肉痛(16%)の順だ。
一方、原因となったテクニックを調べると、親指と小指を広げて鍵盤をたたくオクターブ(43%)と和音(32%)が圧倒的に多く、意外にも、指を強く打ちつけて大きな音を出すフォルティッシモは8%にとどまった。
「痛みの大部分は、関節を動かす筋肉や腱の炎症です。特に指を広げた状態での打鍵は手を痛めやすい。無理をせず、手をいたわりながら練習することが大切です」と酒井さんは助言する。
▽注射1回
専門外来での治療は、毎日の練習を休まずに治すことを大原則にしている。プロにとって技術の低下は死活問題。アマチュアでも、音大受験やコンクール出場で、練習を休めない場合がある。
けんしょう炎では、麻酔剤と抗炎症剤の混合液を患部に直接注射する。発症後間もなくなら、1回の注射で治ることもある。塗り薬や貼り薬を併用し、症状によっては痛み止めを内服する。手術はほとんど必要ない。
付着部炎などでは注射もしない。手の筋肉のストレッチや貼り薬、塗り薬、内服薬で対応する。
注射を避けていた真紀さんだが、演奏家の手を熟知する酒井さんを信頼し、2週間の間隔で2回の注射を受けた。8月下旬にはほぼ元通りに弾けるようになり「秋の演奏会シーズンに間に合って助かりました」と話す。
酒井さんは「重要なのは、いかに予防するかです。中でも演奏前のストレッチは大切。十分にケアをして、思い切り練習してほしい」と呼び掛ける。
- 47news より引用 -
細分化が進んでいる昨今の医療業界ですが・・・
いやいや、まさかこんな専門外来があるとは、ほんと驚きました^^
確かに、治療院にくる患者さんの中に音楽家の方が何名かみえますが、やはりみなさんつらい症状をかかえていますね。
手だけでなく、肩や腰の症状も多いです。
同じ姿勢で何時間もの練習をこなしているので、身体は偏っているし、平気で何時間もこなしてしまう集中力ももっているので、練習後に痛みが一気おそってくると言っていた患者さんもみえました。
ほんと、文章にもあるように練習はかかせないので、からだを酷使しています。。。
大変な思いをしている音楽家の方はいっぱいみえると思うので、こういった専門家ができるのは、イイと思いますね^^
また鍼灸は、慰安ではなく治療が主であり、患者さんもそれを求めてやってきます。
働いている人では、このように仕事が休めず、どうにかして欲しいという人ばかり。
現代医学以外のひとつの治療手段として、自分自身、こういった要望に応えれるよう治療技術を研鑽していきたいものです

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