2011年04月16日 22:34
2010年7月に改正臓器移植法が施行されたことにより、年齢制限が撤廃され、家族の承諾があれば臓器提供が可能になりました。
先日、その改正臓器移植法に基づく初の15歳未満の脳死と判定され、臓器移植となり、5人の患者への移植手術が無事成功しました。
15歳未満で初の脳死判定 家族が承諾、臓器移植へ
日本臓器移植ネットワークは12日、関東甲信越地方の病院で交通事故による頭部外傷の治療を受けていた10~15歳未満の男子が、家族の承諾により改正臓器移植法に基づく脳死と判定されたと発表した。男子は書面などで提供の意思表示はしておらず、家族が「彼の身体を役立てることが彼の願いに沿うこと」などとして承諾した。
昨年7月の改正移植法の施行後、脳死下の臓器移植は42例目で、15歳未満の子どもが臓器提供者(ドナー)となるのは初めて。また家族承諾による提供は39例目。移植ネットは、待機患者の中から優先度の高い患者を選定し、移植の準備を進めている。
移植ネットによると、主治医は8日、男子が回復の見込みのない状態で、臓器提供の機会があることを家族に伝えた。9日と11日の2回、移植ネットのコーディネーターらが父母ときょうだいの家族3人に計3時間半にわたって説明し、11日午前11時半に家族の総意として承諾した。
1回目の脳死判定は11日午後8時25分に行われた。子どもの脳死判定は6歳以上は6時間以上の間隔を空けることになっており、12日午前7時35分すぎに、2回目の判定で法的な脳死と判断された。
家族が承諾した摘出臓器は心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓(すいぞう)、小腸。摘出チームの医師は12日午後11時ごろ病院に集まり、翌13日午前4時ごろから摘出が始まる予定。
同法では、虐待を受けた疑いのある18歳未満の子どもは提供対象者とならない。移植ネットによると、同病院は虐待防止委員会を設置し、医学的に虐待の疑いがないと判断した。ただ、虐待判定の中身については「判定は医学的で病院に虐待がないことを確認した」との説明にとどまった。
移植ネットは、家族の「個人が特定される」との意向で、男子が交通事故にあった時期や入院した病院名などを公表しなかった。
移植法改正前は、法的に遺言ができるのは15歳以上で、15歳未満の子どもは提供の意思表示は認められず、ドナーになることはできなかった。法改正で、年齢制限が撤廃され、子どもを含め、生前に書面などで拒否していなければ、本人の意思表示が不明でも家族の承諾で提供が可能になった。
「すべての手術成功うれしい」 脳死臓器提供の男子家族
改正臓器移植法に基づく初の15歳未満からの脳死臓器提供による移植手術が終了したことを受け、提供者となった男子の家族が15日、「すべての移植手術が成功してうれしい」などと心境をつづったコメントを日本臓器移植ネットワークを通じて発表した。
コメントでは「私たち家族の気持ちが、移植に携わった方々によって、レシピエント(移植患者)に伝えてもらえたこともうれしかった」と述べている。移植手術がすべて終わった14日夜、家族がケアに当たっている移植コーディネーターにコメント発表を申し出たという。
男子は10歳以上15歳未満で、交通事故で頭に重いけがを負って関東甲信越地方の病院に入院。家族の承諾により12日、法的に脳死と判定された。心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓が摘出され、計5人の患者に移植された。
家族のコメント全文は次の通り。
「すべての移植手術が成功したことをお聞きして、うれしく思っています。私たち家族の気持ちが、移植に携わった方々によって、レシピエントに伝えていただけたこともとてもうれしかったです。そして、本当ならレシピエントのことについて直接は知ることのできない立場の私たちですが、テレビや新聞などを通じて、レシピエントのお気持ちを知ることができたのでよかったです。また、これまでのテレビや新聞などの報道は、私たち家族の意向(匿名性)を十分に配慮していただいているので安心しております」
- 中日新聞より引用 -
さて、今回が初の15歳未満の脳死-臓器移植となりました。
臓器移植については、人それぞれ色々な意見があるため、賛否を決め付けることはできず、これがいいことなのかどうかは言えません - -;)
ただ、当然これを期に、脳死-臓器移植が増えていくと思います。。。
前の記事「脳死-臓器移植について。」において、“脳死は人の死”と書きました。
脳死した人の脳はドロドロの泥状になっているから、どうやっても元に戻すことはできないため、脳死は人の死だ、と。
なので、脳死-臓器移植という流れは、その他の人の命を救うという意味で意義のある行為だと思います。
しかし、“移植するために脳死にしてはいけない”という前提があります。
今回の15歳未満の脳死-臓器移植では、生前に書面などで拒否していなければ、本人の意思表示が不明でも家族の承諾で提供が可能となったので、特に注意しなければいけないのです。
また、残される人たちのことも考えなくてはいけないと思います

今回のように、臓器移植してよかった・他の人の体の中で生き続けると思える家族もいれば、その人の死を私が決定したと思って、悩み続ける家族もみえると聞きます。
いくら言葉でわかっていても、いざその人の生死について、サインをするとなると、相当の決意・責任がいるはずです。
人によっては、強い後悔の念と自責の念を持ってしまうかもしれません。
これは脳死の問題だけではなく、延命治療の継続や手術の有無などのときも一緒です。
なので、日頃から自分はどうして欲しいのか、家族はどう思っているのかを話し合っておくことが大切になってくるのです。
どうしても、私たちは「死」について話をすることを疎遠しがちですが、本人・家族が納得できるかどうかのためには必要なことです。
もちろん気軽に話す内容ではありません。
「脳死したらどうする

本当の気持ちは、自分が、家族が、その状況にならないとわからないと思います。
ただ、脳死になった人の気持ちを少しでも尊重できるように。残された家族にかかる負担を少しでも軽くしてあげるために。 日頃から話をしておくことが大切なのだと思います。
死んだあとに自分は切り刻まれるのはいやだとか、他のひとの命を助けたいからドナーカードを持ちたいとか。
人によって意見は様々なはずです。
この機会に、一度家族と話をしてみてはいかがでしょうか。。。
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