2011年03月07日 23:58
『脳死とは、脳幹を含めた全脳機能が完全に失われ再生不能となった状態。』 と、辞書にはあります。
そして、①深昏睡 ・ ②瞳孔固定 ・ ③脳幹反射の消失 ・ ④脳波が平坦 ・ ⑤自発呼吸の消失 ・ ⑥これらの条件が6時間の間隔を置いて2回満たされること …という6つのことをもって脳死(脳の機能停止状態)と判定されています。
こうして、脳死と判断されたら、臓器移植をしても良い。となるわけです。
いちを、非常に簡単に説明してみました。
私のまわりに、(運よく?)脳死の人がいなかったため、あまり “ 脳死 ” ということについていままで考えたことがありませんでした。
だから、脳死というものについてほとんど知っていることはありません。
ただ「脳死と判断された人の臓器を移植することができる」ということを知っているくらいでした。
今回、中日新聞の夕刊で連載している「紙つぶて」という記事の中で、なかなかショッキングなことが書いてあってので、採りあげてみようと思います↓
鈴木さんは、死体鑑定による死因・死亡時刻の判定や血液型による親子鑑定など、裁判上の事実認定のための証拠を医学的見地から確定することを任務とする“法医学者”で、普段知らない解剖現場の話やそれにまつわることを書いてみえます。
脳死と人の死
鈴木 修 - 法医学者・浜松医科大理事
政権交代の直前2009年、混乱に乗じてといったら怒られそうだが、改正臓器移植法が国会で成立した。しかもいわゆるA案が成立したのだ。A案では、脳死は無条件で人の死とうたっている。
私も脳死状態の死体の解剖をたくさん経験している。司法解剖では、必ず、頭蓋腔、胸腔、腹腔を開く。脳死者の場合、首から下の各臓器は新鮮でしっかりとしているのに、大脳、小脳などは原形はなく、まるで灰色の泥のようだ。頭蓋骨を電動のこぎりで切り始めると、その時点で、泥状の脳がボトボトと漏れ出してくる。やむをえず、洗面器を下にあて、頭蓋骨を開きながら、流れ出てくる泥状脳全体をすくいとる。もちろん脳の所見は取れないことが多い。
この様に脳死者の脳の状態を見せつけられると、脳死とは全人的に人の死と実感する。しかし、A案が通っても、まだ脳死を人の死と認めたくない人も多い。一度私どもの解剖をビデオに撮り、お見せできれば考えを変えてくれる人も出てくると思ったりする。
もちろん、家族の気持ちも理解できる。脳死といわれても、心臓は拍動し、体は温かい。しかし、むごいかもしれないが、医学的には脳死は人の死なのだ。
臓器だけでも他人の体の中で生きつづけることができると思って、移植を希望した家族も多いと聞く。
改正臓器移植法が施行されてから、脳死臓器移植件数は3倍以上に跳ね上がった。それだけの数の命が救われるのだ。
中日新聞-紙つぶて より引用
これはあくまで鈴木氏の考え方です。
いまでも「脳死」で検索してみればわかるとおもいますが、賛否両論あり、どちらも色々な理論で反論したりしています。
ただ、今回の記事の中にある >頭蓋骨を電動のこぎりで切り始めると、その時点で、泥状の脳がボトボトと漏れ出してくる。 というのは間違いなく事実であり、私はこのことが一番驚きました。。。
鍼灸の学校に行っているときに死体解剖の見学に行ったことがありましたが、そのときの脳はそのままの形状を保っていました。
だからよけいに驚きました。
通常の経過で亡くなられた患者さんでは脳はそのままの形ですが、脳死の場合は、脳死になってからも外部からの機械によって血液循環と呼吸をサポートし続けられることによって、脳だけが変性してドロドロになるそうです。
だから、脳がドロドロになってしまったら、もうどうやっても再生はしないなと思い、脳死は人の死というのにも納得させられます。
今回の記事を読んで、脳死の人の臓器を移植することは大切なことだと思いました。
が、もうひとつの考えも浮かびました。
脳死した人の臓器を移植することはいいのですが、“移植するために脳死にしてはいけない”ということです。
脳死の人の脳はドロドロということはわかりましたが、判定する段階では、直接脳を開いて確認するわけにはいかないので、あくまで脳死を判定するのは外部所見である上記の6つです。
つまり、移植をしなければならないという考えで、脳死を判定する基準を甘くしてしまってはいけないのだと思います。
それと共に、最大限の治療が行われた上での脳死判定ではないといけないとも思いました。。。
今回の記事は、ちょっとショッキングというか刺激が強い内容でしたが、いつ自分または家族・知人に脳死がおこるかわからないことなので、“脳死” というものについて考えることができてよかったです^^
また、もうすこし脳死について考えてみようと思います。。。
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コメント
職人まこと | URL | -
確かに衝撃ですね
こんばんは
確かにコメントの内容は結構衝撃ですね
以前『半落ち』 という映画を見ましたが
臓器移植も深く関係している内容だったので
思い出しました
自分の妻や息子たちがもし脳死状態になったとしたら
一体どう考えるんだろう
もし誰かに臓器を移植したとしたら
その相手に会いに行きたくなるんだろうか・・・
無くすということを考えることすら
出来ないので今は答えが見つかりません
ただいい機会なのでかみさんとは話しておこうと
思いました
( 2011年03月08日 23:10 [Edit] )
JAKUTAKU | URL | srF/8RA2
Re: 確かに衝撃ですね
>職人まことさん
こんばんは!
コメントありがとうございます
自分が、自分のまわりの誰かが、脳死になったら・・・。
なにか機会がないとこういったことは考えないことですよね。
私もこの記事を読まなければ、家族と話をしなかったかもしれません。
ただ、いつ誰に起こるかわからないものであり、起こった本人は意思を伝えることができないので、いま話し合ってみるというのは大切なことだと思います^^
臓器移植については色々な意見があり、“死”に関することなので話しづらいかもしれませんが、脳死のときはどうするのか?延命治療はどうするのか?臓器移植はどうするのか?など、生きているうちによく家族に話しておくことが残った人のためになるのかもしれません。
( 2011年03月08日 23:54 [Edit] )
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