
ここ数年、火山に関する災害がよく採りあげられています。
気象庁が2007年12月に新しい噴火予報・警報を開始してからはじめて、「噴火警戒レベル5」が2015年口永良部島噴火に適用されました。
そして、2014年の御嶽山噴火では、多くの登山者が巻き込まれ、63人の死者・行方不明者を出す痛ましい災害となりました。
今年の防災の日は、今一度
「 火山 」に関して見直してみたいと思います。。。
日本は、世界でも有数の火山国であり、「 火山列島 」と呼ばれるくらい活火山がひしめいています。
現在、気象庁は全国110の活火山を監視しており、世界中の火山の約10%が日本に分布しているというのだから、いかに火山が多いかがわかります。
(内閣府防災情報より引用)そして最近、西之島・御嶽山・箱根山・口永良部島・桜島など火山のニュースがよく聞くようになり、火山が活発化しているに感じている人も多いようです。
戦後最悪の火山災害となった御嶽山噴火の影響で気象庁やマスコミが火山情報を頻繁に採りあげるようになり、火山が活発化しているように感じてしまうが、むしろここ100年近くの火山活動は低調です。
専門家がいうにはここ100年くらいが静かすぎるそうで、数億立方㍍以上の噴出物を放出するような大噴火が1929年の北海道駒ケ岳以降発生していません。
過去の歴史をみてみると日本の場合、100年間に4~6回ほどは必ず起きていたそうです。
むしろ、これから火山の活発化に注意していかなくてはいけないのです。
そこで、これから我々市民にとって重要になってくるのが気象庁が発表する『 噴火警戒レベル 』です。
(※クリックで拡大)(気象庁より引用)噴火警戒レベルは、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標です。
活火山のうち、噴火想定に基づく地元自治体の避難計画が策定された火山において発表されます。
とくに、噴火警戒レベル対象の30火山の周辺に住んでいる人や登山にいこうとしている人は、この情報を参考に行動する必要があります。
また、火山の近くに住んでいないから大丈夫と思っている人もいるかもしれませんが、大規模噴火の場合、噴石・火砕流だけでなく火山灰が広範囲に降ります。
【富士山と桜島の降灰予測】
(※クリックで拡大)(内閣府防災情報 ・ 国土交通局九州地方整備局より引用)このように大規模噴火の場合、数百メートル離れたところでも降灰が観測されることがあります。
なので、噴火警戒レベルのレベル4・5になった場合、少し離れたところでも降灰に対する準備をしておく必要があるのです。
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さて、前置きが長くなりましたが、ここから火山に対する防災対策をみていきましょう。
火山の防災については大きく分けると
① 火口近辺の人の対策
② 火山の周辺に住む人の対策
③ 火山から離れている場所に住む人の対策
に分けることができるので、それぞれ見ていきたいと思います。
【 火山の火口近辺の人の対策 】 浅間山・桜島・有珠山などは比較的頻繁に噴火しているためデータが豊富で予測しやすいですが、実はそういった火山のほうが圧倒的に少なく、噴火に関するデータが少なすぎてまったく予測ができない火山のほうが多いのが実情のようです。
大規模噴火したことはわかっていてもその前兆のデータは分かっておらず、また全国の火山を監視できるだけの火山学者も不足しているため、いつ噴火するかわからないです。
なので、火山の火口近辺に住んでいる・登山予定がある人は、必ず噴火の可能性を頭に入れておかなくてはいけません。
そこでまずは、ハザードマップを入手し、火山についてよく確認しておくことが大切です。
火山ハザードマップデータベースというホームページに全国のハザードマップがあるので、近くの火山についてこれを見ておきましょう。
もし登山の最中に噴火した場合、身を守るためにできることは噴石と火山灰を避けることです。
まず御嶽山噴火のように噴石による死亡事故が火口近くだと一番多いです。
なので、火山が噴火したときはすみやかにシェルターや山小屋に避難しましょう。
山小屋は、普段登山者の休憩や宿泊などのためのものですが、緊急のときは一時的に逃げ込んだりする避難小屋としての役割も担っています。
また、活火山には、噴石を避けるためのシェルターが設置してあるところがあります。
これまでは限られたところ山にしかありませんでしたが、御嶽山噴火をきっかけに設置が進んでいますので、登山の前にシェルター・山小屋の位置を確認してから登山しましょう。
もしこれらの施設がない場合は、できるだけ早く火口から遠ざかりつつ、大きな岩や物陰に逃げます。
ヘルメットなどがあればすぐかぶり、ない場合はリュックサックなどの荷物や腕で頭部を覆うなど、その場でできる対応で頭部を守ってください。
もちろん、事前に避難場所や避難経路を確認しておくことが大切です。
そして火山灰は、目のかゆみ、痛みや充血を引き起こし、体内に吸い込むと咳や呼吸困難など呼吸器に影響を与えます。
同時に火山ガスには、二酸化硫黄など有毒な成分が含まれており、呼吸器や心臓に疾患がある人は、発作が引き起こされる危険がありますし、濃度によっては死ぬこともあります。
火山灰を体内に入れないようにマスクや濡れタオルで口を覆い、目を守るためにゴーグルを装着しましょう。
火山灰にはガラス成分が含まれているので、目をこすると傷つくおそれがあります。
目がちくちくするからといってこすってはいけません。
目に入った場合は、顔全体を水で洗って火山灰を落とすことが大切になります。
そうして噴石や火山灰から身を守ったら、すみやかに下山しましょう。
まとめると・・・
・ ハザードマップを入手し、火山についてよく確認しておく
・ 事前に避難場所や避難経路を確認しておく
・ できれば、ヘルメット・マスク・ゴーグルを用意する
・ 噴火した場合は、シェルターや山小屋に避難し、頭部・口・目を守る
【 火山の周辺に住む人の対策 】大規模な噴火になると、大量の噴石・火山灰だけでなく、溶岩流・火砕流・土石流などの危険性が出てきます。
すみやかな避難が大切になります。
まず予兆があれば、火山防災協議会を通じ気象庁が噴火警戒レベルを発表があり、市町村から避難指示等が出るのでまずはそれに従いましょう。
事前にハザードマップを見ておけば、適切な避難ができるのでよくみておくことが大切です。
もちろん入山規制がある場合は、山に入らないでください。
また、さきほども書きましたが、噴火を予知することのほうが難しいので、いきなり噴火する可能性も高いです。
なので、いつでも避難できるように準備しておかなくてはいけません。
基本的には地震のときと同じ、非常持ち出し袋を用意しましょう。
(前に非常持ち出し袋についてまとめたので、中身については
こちらを見てください。)
そして、それにあわせて噴石や火山灰から身を守るために、ヘルメット・防塵マスク・ゴーグルも準備しておいてください。
また、火山噴火の場合は地震のときよりも長期間の避難になることも多いので、非常持出品には洋服などを含め、ある程度の長期間を予想して準備する必要もあります。
噴火をすると、マグマが流れてくる溶岩流 や 高温の火山ガス・空気と火山灰・溶岩片などの火砕物とが一体となって高速度せまってくる火砕流などが発生することもあります。
1991年雲仙岳噴火では、火砕流とそれに伴う熱風により森林や家屋などが広範囲にわたって破壊され、死者・行方不明者が計43名にものぼっています。(マスコミが避難指示を無視して取材のために被害が拡大したわけですが)
とくに火砕流は、流れ下るスピードが100km/時を超えることもあり、一気に遠くまで流れ下るので、少し離れているからといって安心せず、すぐに避難行動に移らなくてはいけません。
また、爆発が2回、3回と繰り返し起こることもあり、そのたびに噴石などが飛んできたり、空震などの被害が出る可能性もあります。
地域で協力し、自動車など用い、なるべく早く遠くまで避難しましょう。
事前に避難ルートも確認しておくことも大切です。
まとめると・・・
・ ハザードマップを入手し、火山についてよく確認しておく
・ 噴火警戒レベルにあわせて行動する。
・ 事前に避難場所や避難経路を確認しておく
・ 事前に非常持ち出し袋を用意しておく (長期避難も見越した内容に)
・ 噴石や火山灰から身を守るためにへルメット・防塵マスク・ゴーグルを用意しておく
・ 噴火したら、可能な限りすばやく遠くまで避難する
【 火山から離れている場所に住む人の対策 】火山から離れているからといって安心できないところが火山噴火のやっかいなところ。
それは大規模噴火の場合、広範囲にわたって『 降灰 』があるからです。
前にも説明しましたが、噴火をすると場合によって数百メートルさきまで降灰が観測されるため、降灰対策が必要になります。
自分の住んでいる地域に降灰がどのくらいおこるかをハザードマップで調べておきましょう。
もし都市部に降灰があった場合、たった数ミリの火山灰が積もっただけで空港の滑走路は使えなくなりますし、鉄道などの交通機関が止まったり、灰の重みで電線が切れるなどライフラインへの影響が考えられます。
桜島がある鹿児島のように、日常的に降灰の被害に遭われている場所ならいざしらず、降灰になれていない都市で起こった場合はとくに被害が甚大になりやすいです。
しかも、雪と違って溶けてなくならないので、被害は長期にわたるからやっかいです。
地域の降灰の程度にもよりますが、交通機関やライフラインに留意して行動する必要があることを知っておかなくてはいけません。
また、降灰がひどければ避難することもあるので、地震災害もかねて非常持ち出し袋を用意しておきましょう。
まず、降灰があった場合はマスクやハンカチなどで鼻と口を覆い、落ち着いて室内に避難して下さい。
それから、携帯やテレビ、ラジオ等で噴火情報を確認しましょう。
もし事前に予測があれば、自宅や安全な施設で降灰が収まるまで待機してください。
火山に近くならゴーグル・マスクなどを用意しているかもしれませんが、そうでない場合も多いと思うので薬局などにいって防塵または作業用のマスク、スポーツショップや雑貨店などでゴーグルを購入しましょう。
灰が降っていない日でも葉っぱや屋根についた灰が舞うこともあるので、もっていたほうが安心です。
また、火山灰が降っている時、雨傘・日傘を用いたり、帽子をかぶったり、長袖長ズボンにしたりして、灰にかかりにくいようにしましょう。
灰が室内に入ってくるとやっかいなので、きちんと窓や扉などすき間のないようにする必要があります。
建物の窓を閉めていれば大量の火山灰が入ってくることはないため、屋内の電子機器の環境は降灰のない地域と比べて、あまり変わりはないです。
自動車の運転は、やむを得ない場合を除いて避ける様にして下さい。
路面は非常にスリップしやすく、ブレーキもかかりにくい状態になる可能性も高く、また火山灰の影響で視界が悪くなり、信号機や街灯が非常に見えにくくなるので危険です。
もし自動車の運転が必要な場合は、ヘッドライトを点灯させてワイパーを動かして徐行運転を行って下さい。
ワイパーを使うと乾いた火山灰がフロントガラスを傷つける為、ウォッシャー液を多めに使う必要があります。
火山灰が雨水を含むと、側溝などにこびりついて排水できずに溢れる原因になりますし、屋根に数センチ以上の雨を含んだ灰が積もると家屋が倒壊する可能性が出てくるので、火山灰の清掃作業が必要になってきます。
掃除を始める前に必ず防塵マスク・ゴーグルを着用し、竹ぼうきや角シャベルで集めます。
水を含んだ火山灰は漆喰のように固まるので、水で洗い流さないようにしてください。
当然、排水溝などには捨てない様にしましょう。
室内を掃除をする際、換気のためドアや窓を開け、初めに掃除機をかけます。
またぞうきんがけは、火山灰によって研磨作用が出る為、拭くのではなく軽く叩く様に行って下さい。
まとめると・・・
・ ハザードマップで降灰状況を確認しておく
・ 非常持ち出し袋を用意しておく (ヘルメット・マスク・ゴーグルも)
・ 降灰があった場合はハンカチなどで鼻と口を覆い、落ち着いて室内に避難する
・ マスク・ゴーグル・傘・帽子・長袖長ズボンを使い、火山灰にふれないようにする
・ きちんとドアや窓を閉める
・ 自動車はなるべく避けるが、運転する場合は、ライトやワイパーを使い、徐行運転
・ 火山灰の掃除作業は、配水管つまりや家屋倒壊を避けるために必要
・ 掃除を始める前にも必ず防塵マスク・ゴーグルを着用しておこなう
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火山と聞くと恐ろしいイメージがまず先にきます。
しかし、長い時を経た絶景 や 温泉、湧水、野菜栽培に適した土壌など、火山は私たちの生活に数々の恵みも与えてくれています。
恩恵と同時に怖い面も持っているのが火山なので、火山に対する正しい知識を得て、しっかりとした備えをしておくことが大切です^^
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