「冬でも注意? 脱水症
その1・
その2」のつづき
[ 水だけでは不十分?経口補水液とは… ]脱水症は、カラダにとって不可欠な体液(水分と電解質)が不足した状態で、予防のために水分と電解質を摂ろうと書いてきました。
けれど、水分はともかく電解質ってどうやって摂るの?と思われた方も多いと思います。
そこで、出てくるのが
“ 経口補水液 ” なのです

経口補水液とは、
電解質と糖質をバランス良く水に溶かしたもの。。。
これが、脱水症には一番効果があるのです^^
脱水症は、水だけでなく電解質などを含む体液が不足した状態ですが、実はこの状態で水だけを飲むと危険です。
水だけを摂取すると、体液が薄まってしまいます。
私たちのカラダには、体液の濃度を一定に保つ働きがあるので、体液の濃度が薄まると脱水状態であっても水分を尿とともに排出して、濃度のバランスを調節しようとします。
しかし、尿には水分だけではなく電解質も含まれているため、
水分だけを補ってしまうと、余計に水分と電解質を失い、脱水症を悪化させる悪循環に陥ってしまうのです

これを解決するためには、正しい水分と電解質の補給が重要になります。
そこで生まれたのが、
“経口補水液”です。
水分と電解質を一緒に補給することを「補水」と呼び、水分だけを補給しても「補水」とは呼びません。
利尿作用があるコーヒーや緑茶・ビールなどはもってのほかです。
これまで「補水」の主役は点滴であり、色んな栄養や薬が入っていると思っている方もみえるかもしれませんが、実は点滴の中身はほとんどが水分と電解質です。
同じ水分と電解質をバランスよく含んだ「経口補水液」はいわば" 飲む点滴 "といえます

また、水分と電解質を素早く吸収させるにはブドウ糖とナトリウムイオンの割合がとても大切なのですが、この経口補水液は、水分や電解質・糖質の濃度比が決まっており、WHOを始めとする各種機関が効果を認定しています。
“失った体液は、体液に近い成分で補う”ことが脱水対策のポイントで、これを家庭でできるのが「経口補水液」になるのです。
さて、脱水症のサインである「カサ・ネバ・ダル・フラ」(
その2を参照)のときや、インフルエンザやノロウィルスなどの感染症にかかったとき、経口補水液を飲んだほうがいいことがわかっていただけたと思います。
では、この経口補水液はどうしたら手にすることができるのか?
まず、一番簡単なのは薬局やネットショップで手に入れれる、、、
『 OS-1(オーエスワン) 』 シリーズです
“ オーエスワンは、電解質と糖質の配合バランスを考慮した経口補水液です。軽度から中等度の脱水状態の方の水・電解質を補給・維持するのに適した病者用食品です。感染性腸炎、感冒による下痢・嘔吐・発熱を伴う脱水状態、高齢者の経口摂取不足による脱水状態、過度の発汗による脱水状態等に適しています。
摂取上の注意… 医師から脱水状態時の食事療法として指示された場合に限りお飲み下さい。 医師、看護師、薬剤師、管理栄養士の指導に従ってお飲み下さい。 食事療法の素材として適するものであって、多く飲用することによって原疾患が治癒するものではありません。 ”
… とされています。
ドラッグストアや病院内の売店・ネットショップなどで、WHOのガイドラインと照らし合わせても良質なものが廉価で購入できます。
簡単に買えて、水分と塩分を素早く補給でき、初期の脱水状態からの回復に役立つ便利な飲料です。
また、この経口補水液を
『 家庭でつくる 』 こともできます


どこの家庭にでもある材料を使ってつくることできます。
旅先やキャンプなど、どこで脱水症が起こるかわからないので、簡単なレシピですから覚えておくと非常に便利です

この経口補水液は、売っているものも作ったものも、スポーツ飲料に比べると塩分が多く糖分が少ないために、あまり美味しくありません

しかし、これが脱水症の時には適切な濃度であり、脱水症のときにはそれがおいしく感じます。
健康な人は美味しくなく、美味しく感じるときは脱水症の可能性があるということも覚えておくと助かります^^
[ 経口補水液の飲み方と注意点 ]「経口補水液」は、飲み方も知っておく必要があります

馴染みが薄い飲み物なので、飲み方に気を配らないと効果が出にくい場合がありますし、OS-1のところにも「医師、看護師、薬剤師、管理栄養士の指導に従ってお飲み下さい」と書いてあるように、気をつけて飲まないといけません。
まず飲み方ですが、
「ちびちびと時間をかけてゆっくりと飲む」ことが大切です
医療機関で点滴をする際はちびちびと1時間くらいかけて行いますが、同様に"飲む点滴"である「経口補水液」も
ちびちびと500mlを30分から60分ほどかけて飲むのが正しいやり方です。
これは、せっかく飲んだのに水分がオシッコとして出てしまったり、十分に電解質の補給が行えなかったりすることがあるからです。
下痢をしているときはかえって逆効果のこともあります。
子どもの場合、
ペットボトルのキャップなどを用い、ちびちびと飲むと良いと思います。
周囲が気づかないうちに脱水症になることが高齢者も、特に持病がなければ経口補水液がオススメですが、咳き込むようなときは、市販のゼリータイプを試してみてください。
とろみがついていると、気管支のほうに入ってしまう“誤嚥”になりにくいので便利です。
ペットボトルだとごくごく飲んでしまう、なんて人にもゼリータイプはオススメです。
そして、成人と子どもでは摂取量の目安が変わります。
まず成人ですが、通常成人では何もしなくても、一日におよそ1,500~2,500mlの水分を失い、一日に1,000~2,500mlの水分を食べ物や飲み物で摂っています。
成人が乾燥や感染症などで体液を失った場合、食事からの摂取に加えて、飲料水の大半を経口補水液に置き換え、
1日500~1000mlの量を分割して摂取するように心がけましょう。
乳児・幼児の場合は体重が目安となります。
母乳やミルクが飲めるなら、
体重1kg当たり10mlの経口補水液を1日のうちで分割して飲ませます。
最初は5cc(小さじ1杯)程度を1〜5分おきに。約1時間で下の表のような目安で始めてください。
~ 初めの1時間に経口補水液を飲ませる目安 ~
≪1回の分量≫ ≪1時間の量≫
□ 体重7㎏以下 …3分ごとに小さじ3杯ずつ …70~80mℓ
□ 体重10㎏まで …5分ごとに10mℓ …120mℓ
□ 体重15㎏まで …5分ごとに15mℓ …180mℓ
□ 体重20㎏まで …5分ごとに20mℓ …240mℓ
子供は正直ですから、体調が悪いときはいやがらずに飲むことが多いようです。
飲ませても吐き出さない場合は、後述する1日の適量内で、ゆっくり幼児が飲みたがるだけ与え、いやがる子供に無理やり飲ませることは避けましょう。
また、母乳(ミルク)栄養児の場合は、母乳(ミルク)を少しずつ、何度も与えてください。
そのときは無理に経口補水液にする必要はありません。
以上が、乳幼児の経口補水療法を続ける場合の基本ルールになります。
あと、摂り過ぎは塩分・カリウム過多になりかねないので、1日当たりの適量も知っておきましょう。
【一日あたりの適量】
◇ 乳児 … 体重1㎏あたり 30~50ml (例:5㎏なら150~250ml)
◇ 幼児 … 300~600ml
◇ 学童・成人 … 500~1000ml
また、経口補水液には、ナトリウムとカリウムが比較的多く含まれているので、高血圧・糖尿病・腎臓病などの疾患がある人は、かかりつけの先生と相談するようにしましょう。
そして、「経口補水液」は、原則的には常温で、そのまま飲むようにできています。
沸騰させたり、薄めたり飲みやすいようにジュースなどと混ぜたりしないようにもしましょう。
ただ、寒い季節に冷たい飲み物を飲みたくない方は少し温めても大丈夫です。
沸騰させると水分が抜けて成分が変わってしまうので、温めるなら人肌程度の37度前後を上限としておきましょう。
最後に、一番大切な注意点です。。。
あくまで、経口補水液は症状が比較的軽い場合に用いるもの。
経口補水液を飲んでも症状が改善されない場合・重症の場合は、すぐに医療機関へ行きましょう
正しく使えばとても有効なものですが、症状が重症なのに頼りすぎていては危険です。。。
3回にわたって、冬の脱水症を取り上げましたがいかがだったでしょうか?
脱水症は、意外と身近にあるもので、誰でもなる可能性があります。
正しい理解と、適切な対処・予防で、脱水症にならないようにしてください^^
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