2011年11月25日 23:50
前の記事では、目に関する事柄を採りあげたわけですが、ちょうどいい機会なので、続けて “ 目 ” に関することを採りあげていこうと思います^^
さて、今回もまずはこの図を見てみてください。
ある病気のチェックシートになります↓
≪ やり方 ≫
この図を約30cm離れて、眼鏡をかけたまま、片目を閉じて、表の中央の黒い点を見つめましょう。
手で片目を覆ってもOKです。
※ 両目で見ず、片目ずつ見るようにしてください。眼鏡はかけたままで結構です。

どうですか?ちゃんと碁盤の目のように見えましたか?
縦横の線がゆがんで見えるところがあったり、見えないマス目はなかったでしょうか?
こんな風に見える人はいませんでしたか?
↓

このように見えていたら、あなたは 『 加齢黄斑変性 』 かもしれません

加齢黄斑変性とは、加齢に伴い眼の網膜にある黄斑部が変性を起こし、視機能(視力や視野)が低下してくる病気です。
黄斑は、網膜のほぼ中央にあり、ほかの部分に比べて視機能が格段によく、物を見るということでもっとも重要な部分です。

色を識別する細胞のほとんどもこの部分にあります。
例えば、文字を読むとき、文字は常に視野の中央の黄斑で読まれていて、そこから数文字でも外れたところにある文字は、相当読みづらくなります。
そのため、黄斑に異常が起きると、見ようとするところが見えにくくなり、視力低下やゆがむ・暗く見えるなどの症状が引き起こされます。
近年、この加齢黄斑変性は高齢者に増加しており、視覚障害者の原因疾患の第4位になっています。
50歳以上の人の約1%にみられ、高齢になるほど多く、男性の方が女性に比べ3倍多いとも言われています。
日本では認知度が低い病気ですが、欧米では成人の失明原因の第1位で珍しくない病気なのです。
加齢黄斑変性には二つのタイプがあり、視力の経過や治療手段が異なります。
◎ 「萎縮型」加齢黄斑変性
黄斑の組織が加齢とともに萎縮してくるタイプで、詳しい原因がまだよくわかっておらず、今のところコレといった治療法がありません。
しかし、病気の進行が遅く、萎縮部分が拡大して中心窩にかからない限り、高度の視力障害には至らないので、あまり問題にされていません。
萎縮型から滲出型へ変化することもあるので、定期的な眼底検査、蛍光眼底検査を行い、経過をみることが大切になります。
◎ 「滲出型(しんしゅつがた)」加齢黄斑変性
滲出型はその名の通り水がにじみ出てきて(滲出)、黄斑に障害が生じるタイプです。
正常な血管とは異なる弱いもろい血管(脈絡膜新生血管)から、血液の成分や血液が黄斑組織内に漏れ出し、網膜・黄斑が正しく働かなくなり、異常が出てきます。
滲出型は萎縮型よりも進行が早く、新生血管の成長とそこからの出血や滲出物により、視力低下やゆがんで見える・視野が欠ける、などの症状が悪化していきます。
ある程度すれば新生血管が枯れ、出血や滲出が収まりますが、時間が経ってしまうと黄斑の網膜組織は破壊されて、永久的に傷害が残るため、高度の視力障害(矯正視力で0.1以下)が残ってしまいます(近年、有効性の高い治療法が相次いで登場し、視力の改善も目指せるようになりつつあります)。
加齢黄斑変性の原因、病態は完全には解明されておらず、現在も様々な研究が行われているところです。
ではそんな中、私たちは加齢黄斑変性に対してどうしたらいいのでしょうか?
まず、大切なことは、早期発見することです

進行の早い滲出型でも、中心窩に達していない小さな新生血管を早期発見できれば、効果的な治療が行え、視機能の維持・改善の可能性が高くなりますし、中心窩の新生血管に対しても、抗血管新生薬などにより治療できます。
もし、「物がゆがんで見える」「視野のまん中が暗く見える」「視力が低下してきた」など、少しでも変だなと感じたら、すぐに眼科を受診しましょう。
全く自覚症状がない人でも、50歳を過ぎたら一度、眼底検査をしてもらったほうがイイでしょう。
日ごろから、上のチェックシートやカレンダーなどで見え方を確かめて、早期発見できるように心掛けることが大切です

このような見え方を感じたら、すぐに病院に行きましょう↓

また、もともと加齢黄斑変性は欧米人に多く、日本人には少ない疾患です。
欧米人の眼は日本人の眼に比べ、光刺激に弱いのと、食生活が原因のひとつとも言われています。
現在、日本では食生活が欧米化し、TVやパソコンの普及により眼に光刺激を受ける機会が非常に多くなりました。
(光刺激は眼の老化を促進する原因になります。)
なので、加齢黄斑変性の予防策のひとつとして・・・
● TVやパソコンを見過ぎないようにして、細かい休憩を挟んで目を休ませるようにしましょう。
● 強い光、とくに太陽光などの光刺激から、サングラスや帽子で目を守りましょう。
● 偏った食材を摂らず、バランスのいい食事を心掛ける。
● また、調査でタバコが加齢黄斑変性になる危険性を高めることが分かっていますので、禁煙を勧めます。
長寿国である日本は、加齢が基礎にある加齢黄斑変性になる可能性はどんどん高くなっていると思います。
自分の目に気を配り、すこしでもおかしいと思ったら、すぐに病院で検査してもらうようにしましょう

もっと知りたい方はこちらもどうぞ。。。
・ 日本眼科学会 - 網膜・硝子体の病気
・ 難病情報センター
・ 加齢黄斑ドットコム
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2011年11月19日 23:03
面白い画像を手に入れたので、健康にあまり関係ないかもしれませんが、紹介したいと思います

さて、次の画像、だれに見えますか?
↓

どうでしょうか?
いつもパソコンを使う距離で普通に座って上の画像を見た時に、「アルバート・アインシュタイン」が見えますか? それとも「マリリン・モンロー」が見えますか?
この画像は、視力がよければアインシュタイン、悪ければマリリン・モンローに見えるようになっています。
視力検査ができる画像ではないですが、非常におもしろい画像です^^
この画像は、これまでにもどこかで見たことがある人もいるかもしれませんが、2007年3月31日号の雑誌「New Scientist」で、マサチューセッツ工科大学の教授Aude Olivia氏が作成したものとして載ったのが最初のようです。
もし、近眼ではない方で、近眼の人にどう見えているのかが知りたい場合は、目を細めて見るか、パソコンから離れていけば、アインシュタインがモンローに見えるはず。
パソコンをやりすぎると、けっこう目を酷使しています。
これが目安になるわけではないです。
が、たまに目の周りをマッサージしたり、ホットタオルで温めるなど、目のケアをしてあげましょう^^
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2011年11月15日 23:01
養生訓 - 第5巻より
高貴な人の前で長時間かしこまっていたり、あるいは役所で長いこと座っていたりして、足がしびれて急に立てず、倒れてしまうことがある。これを防ぐには、立とうとする前から、あらかじめ左右の足の親指をしばしば動かし、屈伸させておくことである。このようにすれば、足がしびれて立てないという心配はなくなる。
つね日ごろ、ときどき両足の親指を屈伸することを習慣づければ、こむらがえりになる心配がない。また、こむらがえりになったときも、足の親指をしばしば動かせば治る。この方法は、急場をしのぐ方法なので知っておいたほうがよい。
のぼせる人も、両足を伸ばして、親指をしばしば動かしなさい。“気”が下って治る。この方法もまた役に立つのである。
口語 養生訓 - 原著:貝原益軒 訳註:松宮光伸
今回の 『 両足の親指を屈伸すること 』 は、とても役に立つ方法です^^
デスクワークをはじめ、長時間座っていることが多くなった現代人は、足の筋肉が怠けています。。。
ここに書いてある “長時間かしこまっていたり、あるいは役所で長いこと座っていたり” というのは、江戸時代なのでおそらく正座だと推測するが、しびれて立てない場合以外でも十分効果があります。
普段歩くことをあまりしないので、足の筋肉は硬くなり、血流も悪くなって、むくみやすくなっています。
当然、こむらがえり(=ふくらはぎがツる・痙攣すること)にもなりやすくなってしまうのです。
それを防ぐのが “ 親指体操 ” です

この「両足の親指を屈伸すること」を、もう少し詳しく解説していきましょう

足の親指を動かすことで、 【 長母趾屈筋・短母趾屈筋・長母趾伸筋・短母趾伸筋・母趾外転勤・母趾内転筋 】 という親指に関わる筋肉が動きます。
そして、大抵の場合、親指を動かすと残りの4本の指も動くことになるので、【 長趾屈筋・短趾屈筋・長趾伸筋・短趾伸筋・虫様筋・足底方形筋 】 なども動きます。
これからの筋肉は、足の指や足底部、下腿に付着しています。
なので 『 両足の親指を屈伸すること 』 をすれば、親指だけなく、足裏や下腿の筋肉に刺激を与えることができるのです

刺激を与えることで、筋肉を動かす神経が活性化し、筋肉が動きやすくなり、ほぐれ、血流がよくなります

そうすることで、しびれやこむらがえりなどを防ぐことができるわけです。
また、東洋医学の視点からこの「両足の親指を屈伸すること」をみていくと・・・
親指や足底部・下腿には、首や肩・背中に関係するツボや経絡があります。
普段、ここを使っていない人は、足裏や下腿の“気”の流れが悪くなっています。
ここを刺激して、筋肉のハリをなくし、“気”の流れを整えておけば、肩コリや首コリ・背中のハリ・頭痛などに効果があるのです

本文にある“のぼせる人”というのも、下肢の“気”の巡りが悪いために、“気”が上に集まっておこっているものなので、下腿を刺激することで巡りがよくなり、“気”も下りてくることができるのです。
私は、肩コリや首コリ・背中のハリなどを訴える患者さんには疲れない程度のウォーキングを勧めているのですが、これも考え方としては同じです。
「 下 」 を刺激して、「 上 」 を良くする。。。
こういった考え方は、鍼灸にはよくみられるものです。
今回、貝原益軒先生が薦めている 『 両足の親指を屈伸すること 』 は簡単で効果が高い健康法です

普段から取り入れれば、とっても健康によいです。
もし可能なら、『 足首の曲げ伸ばし 』 も一緒にやると、なお良しです!
より下腿に刺激を与えることができるので、相乗効果が期待できますよ~

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2011年11月07日 23:26

紅葉とともに、ギンナンのおいしい季節になってきました。。。
生産量日本一の愛知県祖父江町(現:稲沢市)も、いま収穫まっさかりのようですね^^
塩で炒ったり、串に刺して焼いただけでも酒のツマミになりますし、茶碗蒸しやごはんに入れれば彩りも良く、おいしいです。
銀杏は、特徴のある味と独特の苦味、若干の臭気があり、好きな人・嫌いな人が分かれやすいですが、ハマるとついつい食べ過ぎてしまうクセのあるものです^^
しかし、そんなギンナンも 食べ過ぎには注意 が必要です


ギンナンは古来より、中国や日本で食用だけではなく、くすりとしても使われてきました。
滋養強壮の妙薬として使われ、鎮咳作用や去痰作用があることから喘息やせき止めに効果があるとされ、また、膀胱の括約筋を強くする効果から夜尿症・頻尿の改善にも使われています。
栄養面から見ても、ギンナンには糖質とタンパク質が多く含まれ、カロチン・レシチン・エルゴステリン・ビタミンCなども多く、栄養豊富な種子なのです。
ただ、そんなギンナンも食べ過ぎると “ ギンナン中毒 ” を引き起こしてしまう危険性があるのです

では、ギンナンを食べ過ぎるとどうなってしまうのでしょうか・・・?
ギンナンを食べ過ぎると1~12時間後に、腹痛・嘔吐・下痢・頻脈・消化不良などの食中毒様症状が出るほか、ひどい場合にはふらつき・痙攣・呼吸困難・意識消失・ショックなどを引き起こします。
最悪の場合、死に至ることもあるのです!
原因は、ギンナンに含まれるメチルピリドキシン(MPN)という物質が、ビタミンB6の欠乏を引き起こし、その結果、ギンナン中毒が現れると考えられています。
このメチルピリドキシン(MPN)は、ビタミンB6に極めてよく似ているため、ビタミンB6の働きを邪魔して、見かけ上、ビタミンB6欠乏症状を引き起こします。
ビタミンB6には、体内での様々な生化学反応の酵素の働きを助ける作用があるのですが、そのなかでも神経伝達を抑制する働きがあるGABA(ギャバ)の生合成をメチルピリドキシン(MPN)は阻害してしまうのです。
すると、神経伝達が抑制されず、中枢神経の異常興奮により痙攣などの症状を現してしまう・・・といわけです

このギンナン中毒を引き起こすのは、圧倒的に “ 小児 ” が多いです

小児(5歳未満)に多く、報告されている全患者の70%以上が10歳未満の子供です。
大人の場合には、かなり多量に摂取した場合に限られています。
大人は肝臓にMPNを解毒する酵素がありますが、小児は解毒能力がまだ発達していないためギンナン中毒になりやすいのです。
そのため、小児のギンナンの摂取は制限する必要があります。
「じゃあ、どのくらい食べていいの?」 という声が聞こえてきそうなので、目安はというと・・・
~ 中毒が起きる量の目安 ~
小児 = 7粒以上
成人 = 40粒以上 とされています

先に述べたように、小児に起こりやすい中毒なので、子供に与えるときは個数を制限したほうが安全です。
特に小児の場合は個人差があり、数粒でも中毒症状を起こしたという報告もあるようです。
子供はあればあるだけ食べることがよくあるので、お皿に始めから5つ程度までしかギンナンを盛り付けないようにしたほうが賢明ですし、料理の中の個数をよく調べたほうがいいと思います。
また、5歳未満の場合は、はじめから与えない方がいいと思います。
大人も危険度は下がるとはいえ、ナッツのような感覚で食べ過ぎないように、注意しないといけないですね^^
もし、銀杏を食べた後になにかしらの症状が出た場合は、来るだけ早く病院に行って、銀杏を食べたことを医師に告げましょう

ギンナン中毒が原因であれば、ビタミンB6の注射などで症状を改善することができます。
いま、ギンナンはいたるところに落ちています。
ほんとうに、ギンナンのおいしい季節です^^
ただし、美味しいからといって食べ過ぎず、量を決めて食べるようにしましょう~

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