2010年12月09日 23:51
昨年12月に大阪の鍼灸接骨院にて、副院長である柔道整復師が無免許(鍼灸の)でありながら女性に鍼治療を施し、肺を傷つけ、低酸素脳症で死亡させるという事件が起きました。
今回はその事件の判決がくだりました↓
はり治療後に死亡、元副院長に有罪判決 大阪地裁
2010/12/7 12:07
大阪府池田市の「メイプル鍼灸(しんきゅう)整骨院」で女性患者が無免許の施術者にはり治療を受けた直後に死亡した事件で、業務上過失致死罪などに問われた同院元副院長、岡村祐樹被告(27)に対し、大阪地裁(増田耕児裁判長)は7日、懲役3年、執行猶予5年、罰金50万円(求刑懲役3年、罰金50万円)の有罪判決を言い渡した。
増田裁判長は「安全なはりの深さなどの認識が乏しく、必要な専門的知識や技能を十分有していなかった」と指摘。「危険な施術を繰り返した過失は大きく、結果も極めて重大」と述べた。
公判で弁護側は「被害者は施術前から自然気胸の持病があった」と主張し業務上過失致死罪の成立を争ったが、増田裁判長は「施術で気胸が発症したと認められ、死亡との因果関係は明らか」と弁護側主張を退けた。
判決によると、岡村被告は2009年9~12月、無免許で14回にわたり箕面市の上田清美さん(当時54)らにはり治療を行い、同年12月、上田さんの背中にはりを深く刺して気胸を発症させ、低酸素脳症で死亡させた。
閉廷後、清美さんの夫、稔さん(58)は「執行猶予が付いたのは残念。未熟な技術で妻の命を奪われたことは今も許せない」と語った。
- 日本経済新聞 電子版 より引用 -
今回のこの事件には本当に驚かせられました。
柔道整復師でありながら鍼灸をするというその治療に関する職業意識、違法と知りながら黙認しあげく関与を否定し続ける院長、世間への影響度など、すこし考えただけ多くの問題がある事件でした。
また、鍼灸を知らない人にとっては、この事件で「鍼灸治療は怖いものだ」と思われるかもしれません。
このような事件で、鍼灸に対する印象が悪くなるかと思うと憤りを覚えます。
この事件は、鍼灸無免許で柔道整復師が鍼灸を施術して患者さんを死亡させて、“業務上過失致死罪”と“あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律”違反の罪により、懲役3年、執行猶予5年、罰金50万円(求刑懲役3年、罰金50万円)の有罪判決を受けたものです。
私はこれが不思議でなりません。
鍼灸を無免許で行ったのだから“あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律”で罰金50万円になるのはわかります。
しかし、鍼灸師ではない人が“業務上過失致死罪”というのはおかしい。この場合、“傷害罪”のはずです。
事実、無免許医師が治療を施した場合は“傷害罪”なのですから。
執行猶予つきで、刑罰も軽い。
これでは、遺族が許せないのも分かります。
鍼灸・柔道整復・マッサージの業界には、多くの問題があります。
今回の事件もそのひとつです。
保険の不正請求問題や無免許なのに施術する(とくにマッサージ)ことなどがありますが、これを行政はあまり取り締まっていません。
このような問題で本当に困るのは施術側ではなく、患者さん側です!
鍼灸・柔道整復・マッサージの協会、行政は、もっと真剣にこれらの問題に対処していて欲しいものです

しかし、今回のは本当に鍼灸に対する誤解を生んでしまいかねない事件だ…

↓役に立った・わかりやすかったなど、よかったらポチッとヨロシクお願いしますm(_ _)m


2010年12月06日 17:00
今回は、保険の話です!
さて、健康保険で鍼灸の治療を受けることができるのでしょうか?
結論から言うと、健康保険で鍼灸の治療を受けることができます。
しかし、健康保険の適用疾患が決まっていたり、同意書がいったりとなかなか複雑なことになっています。
順を追って説明していきますね

まず、健康保険で鍼灸を受けられる疾患は次の6つです↓
・ 神経痛
・ リウマチ
・ 頸腕症候群
・ 五十肩
・ 腰痛症
・ 頸椎捻挫後遺症(むち打ち症)
鍼灸では、この6疾患しか適用ではありません。
風邪や便秘・食欲不振・高血圧・頭痛などなど、このような疾患は健康保険の適用にはならないのです。
簡単に6疾患の症状を説明すると…
・ 神経痛は、病気の範囲が広いので、身体のあらゆる場所の慢性的疼痛に適用され得ます。
・ リウマチは、かなり限定された疾患ですから、病院にてリウマチと診断されたものに限ります。
・ 頚腕症候群は、かなり解釈の広い疾患です。頚部(首)、肩関節、上肢(腕)の筋肉や靭帯から発生する痛みなどはほとんどこの病名の範囲にあります。症状としては頚、肩、腕の痛み、こり感、しびれ感、重だるさなどです。
・ 五十肩は、これも限定された病名です。40代~50代、60代にみられる肩関節の疼痛疾患(年齢は絶対の条件ではない)で、特徴的な症状は、腕に痛みがあり、上がらない(挙上困難)、帯を腰の後ろで結ぶ動作が出来ない(結帯動作困難)、髪の毛を頭の後ろでさわれない(結髪動作困難)。また夜間に肩関節から腕が痛み眠られない人もいます。
・ 腰痛症は、頚腕症候群と同じく範囲の広い疾患です。特に筋肉、靭帯による疼痛に対し鍼灸は著効を示します。症状は腰の痛み、重だるさ、下肢への関連痛等ほとんどの老化による痛みはこの病名でくくられるものです。
・ 頸椎捻挫後遺症は、いわゆるむち打ち症の後遺症です。
そして、この6疾患で健康保険を受けるためには、医師の同意書(医師の診断の結果、保険で鍼灸治療を受けることを認めた書類)が必要になってきます。
鍼灸では、健康保険で治療を受けるまでの流れは次のようになっています↓
① 健康保険適用の症状がある場合、健康保険を取り扱っている鍼灸院で同意書の用紙をもらいます。
② 病院へ行き、症状を説明して医師に同意書をかいてもらいます。
③ 同意書・保険証(医療受給者証)・印鑑を持って、①の鍼灸院にいけば、その日から保険治療をうけることができます。
健康保険で治療を受けたい場合は、このようになっています。
意外と面倒くさいんですよね^^;
鍼灸師は、医師や柔道整復師(接骨院)のように自分で保険適用にすることが認められていないので、このような仕組みになっています。
なかには、同意書をかいてくれない・鍼灸治療を認めない医師もいますから、すんなりと受けれないこともありますし、同意する医師が鍼灸の保険についてよく理解しているとは限りません(むしろ理解している人のほうが少ないです)ので、より面倒になってしまうこともありますから理解していてください。
また注意点として、鍼灸の場合、治療期間中に同じ病名で保険医療機関で治療を受けたならば、保険は適用されません!
つまり、同じ病名では、病院や接骨院で同時に保険治療は受けられません。
例えば、病院・医院・接骨院などで「五十肩」の治療を受けた場合、鍼灸院で同じ病名である「五十肩」の保険での治療はできません。
あとで料金を請求されてしまいます。
俗にいう、二重診療・治療のハシゴをすることはできないので注意が必要です!
詳しくは、健康保険取り扱いの鍼灸院でお尋ねくださいm(_ _)m
このように、疾患の制限や同意書の問題などはありますが、健康保険で鍼灸の治療を受けれることが出来ます!!
健康保険で鍼灸の治療が受けたい人は、ぜひ覚えておいてくださいね

最後に、デメリットとまでは言わないけど、すこし覚えてもらいたいことを書いておきます。
健康保険で治療を受けると当然治療代は安いです。
その分、治療内容や時間などが、実費で鍼灸治療を受けている患者さんと異なるように設定している鍼灸院もあります。
健康保険で行える治療内容は制限されており、実費の場合ほど治療は自由ではないです(とはいえ鍼・灸はちゃんと受けれるので安心してください。それ以外ができないということです)。
また、治療費の高い実費で受けている患者さんへの配慮として、治療時間を短くしている治療院もあるので、初めに値段や時間などを聞いておくといいと思います。
以上、健康保険による鍼灸の治療について書いてきましたが、わかっていただけたでしょうか^^
鍼灸治療は素晴しいものですから、ひとりでも鍼灸を受けるきっかけになれば幸いです

↓役に立った・わかりやすかったなど、よかったらポチッとヨロシクお願いしますm(_ _)m


2010年12月04日 22:15
養生訓 - 第3巻より
四季を問わず、老人から幼児まで、温かいものを食べなさい。ことのほか、夏は体内に冷えが隠れているので、とくに注意が必要である。若くて元気のある人も、温かいものを食べるべきである。生もの、冷たいものを食べないこと。滞りやすく、また下痢しやすい。冷えた水も多くのではならない。
養生訓 - 第3巻より
夏に、果物や生野菜をたくさん食べ、冷麺をしばしば食べ、冷水を多く飲めば、秋になったとき、必ず瘧痢(ぎゃくり:食中毒など発熱や下痢を起こす各種感染症のこと)を病む。およそ病気というものは、故なくして起きるものではない。普段から用心していなければならない。
養生訓 - 第5巻より
下痢しているとき、あるいは食が滞って腹が病むとき、入浴して腹を温めれば、“気”が巡って病は治る。非常に効果的である。初期であれば、薬を飲むより勝る。
養生訓 - 第6巻より
冬に、朝から出発して遠くに行くときは、酒を飲んで寒さを防ぎなさい。空腹で寒さにあたってはならない。酒を飲まない人は、粥(かゆ)を食べなさい。生姜(しょうが)も食べなさい。
陰性(=寒さ・寒邪)が強い霧の中を遠くまで行ってはならない。やむをえず遠くまで行かなければいけないときは、酒食をとって陰性を防ぎなさい。
口語 養生訓 - 原著:貝原益軒 訳註:松宮光伸
いろいろな言い方をしていますが、大切なことは 体を冷やさないこと = 寒邪にやられないこと です

寒邪をやられると、下痢や発熱・食欲不振・腹痛・嘔吐・小便自利(おしっこが出過ぎる、または回数が多い)・精力減退・麻痺・筋痙攣など、さまざまな症状が引き起こされます。
では、寒邪を身体に入れないためにはどうしたらいいのでしょうか?
ポイントを挙げると・・・
◇ 冷たいもの・生ものを食べすぎないにする。
◇ 冷たい飲み物を飲みすぎないようにする。
◇ 体を温めるもの(生姜や人参など)を食べる・飲む。
◇ 体、とくに下肢と首まわりを冷やさない。
◇ 寒さを感じたらすぐに重ね着したりして体を温める。
◇ 適度な運動をする。 などなど
現代では、冷蔵庫やクーラーの普及によって一年中冷たいものが飲めて、涼しい部屋にいることができてしまうので、注意しなくてはいけないです。
特に温かい地域に住んでいる人の方が気をつけないといけないかもしれません。
20℃といっても夏と冬とでは感じ方は違いますし、人それぞれ体質も異なります。
寒さに慣れてない、夏や温かい地域の人は、慣れていないのでより寒邪を受けやすくなっているのです。
また、寒邪というものは“急に、激しく来る”という性質を持っています。
だんだん来るというものではないのです。
それだけに、体を冷やさないという予防が大切になるし、寒さを感じたらすぐに対処しなくてはいけないことを覚えておいてください

最近では、石原結實先生の『 「体を温める」と病気は必ず治る 』を皮切りに、「体を温める」ということが盛んに言われるようになってきましたし、ひとつの健康法として確立したところがあります。
この「体を温める」ということは、実はすでに江戸時代の貝原益軒の養生訓に重要なこととして書かれています。
当時の住宅環境や衣服の質・栄養状態などを考えるといまよりも「寒さ」は気をつけなければならないものだったのでしょう。
さらに言えば、貝原益軒は2000年以上前の『黄帝内経』『傷寒雑病論』『神農本草経』を始めとした様々な古典を参考にしていたわけですから、「体を温める」ことは昔からある健康法、言い換えれば人間には必要な健康法といえるのです。
「寒邪」というものは、一年中いつでもやられる可能性があります!
寒邪をカラダに入れないよう、常に気をつけて生活していきましょう

↓役に立った・わかりやすかったなど、よかったらポチッとヨロシクお願いしますm(_ _)m


2010年12月01日 22:23
「飲むだけでやせる」誇大広告
消費者庁が悪質業者名を公表へ
健康食品に「飲むだけでやせる」などと誇大な広告表示をしている業者に対し、消費者庁は1日、健康増進法を厳密に運用し、悪質な場合は業者名を公表する方針を明らかにした。
消費者庁によると、今年6~8月、インターネット上で誇大広告をしている業者約300件に対し、同法に基づき改善を指導してきた。これらの業者が今後、従わない場合は、勧告し公表する。同法がこうした表示に対応するよう改正されたのは平成15年だが、勧告、公表した例はないという。
誇大広告がインターネット上などにあふれ、体調不良や「効果がない」といった消費者相談が絶えないため、方針を決めた。
また、消費者庁では、商品を著しく優良と誤認させる表示を取り締まる景品表示法の運用も強化。厚労省とも連携して、医薬品のような効能をうたう健康食品も監視していく方針。
- 産経ニュース より引用 -
現在、情報社会化して、ありとあらゆるものがインターネット上で売られています。
当然そのなかには、悪質なものや違法なものも溢れているわけです。
今回、消費者庁がそんな悪質・違法なものを扱う業者名を公表していくそうです

インターネットみていると「飲んだらやせる」とか「これを飲めば膝がよくなる」などなど、ほんとうに誇大広告がたくさんあります。
また、それを信じて買う人も多いわけですから、今回の方針は当たり前だと思います。
(どうせなら、販売停止命令とか罰金刑など具体的な刑罰もしてほしいところですが・・・

民主党なのでちゃんとやってくれるか不安ですが、このような対応はインターネット社会が日進月歩で進んでいく今日、しっかりと行っていってほしいものです^^
↓役に立った・わかりやすかったなど、よかったらポチッとヨロシクお願いしますm(_ _)m


最新コメント