もともと『ホメオパシー』について、私は否定的な意見を持っていたのですが、このたび日本学術会議がホメオパシーを全面否定する談話を出しました。
通常の医療とは異なる民間療法「ホメオパシー」について、日本学術会議(会長=金沢一郎東大名誉教授)は24日、「科学的な根拠は明確に否定され、荒唐無稽(こうとうむけい)」とし、医療従事者が治療で使わないよう求める会長談話を発表した。山口市の女児ら死亡例が出たことを重視。通常医療から患者を遠ざける懸念があるとして、一般に広まる前に、医療現場から排除する必要があると判断した。科学者の代表機関が、特定の療法を否定するのは極めて異例だ。
金沢会長が会見で発表した。日本医師会や日本歯科医師会、日本獣医師会など6団体も談話に賛同し、会員に周知する方針だ。厚生労働省は、普及団体について、医師法や薬事法などの観点から注目し、情報収集を始めた。
会長談話では「ホメオパシーが医療関係者の間で急速に広がり、養成学校までできていることに強い戸惑いを感じる」とした上で、「治療効果は明確に否定されている」と指摘した。さらに「今のうちに、医療現場から排除されないと『自然に近い安全で有効な治療』という誤解が広がり、深刻な事態に陥ることが懸念される」として、医療関係者が治療に使うことは厳に慎むよう呼びかけた。一方で、「十分理解した上で、自身のために使用することは個人の自由」としている。
学術会議の唐木英明副会長は「(ホメオパシー治療で使うのは)『ただの水』で『副作用はない』のはもちろんだが、科学的に全否定されているものを医療従事者が使えば、患者を通常の医療から遠ざけかねず危険だ。『ホメオパシーは効かない』というメッセージを伝えることが重要と考えた」と説明した。
日本学術会議は、約84万人の科学者の代表として選ばれた210人の会員と、約2千人の連携会員からなる日本の「頭脳集団」。政府に対する政策提言や社会への啓発などを行う。
皇室医務主管で神経内科医の金沢会長や、東大名誉教授(毒性学)の唐木副会長らが約1年半前から、この問題を議論してきたという。今年に入り、ホメオパシーを受けている人の中で通常の医療を拒否して、死亡したり症状が悪化したりした疑いの濃い例が相次いで表面化した。
山口地裁では5月、新生児が一般に投与されるビタミンKを与えられず死亡したとして、ビタミンK投与の代わりにホメオパシー療法を行った助産師を相手取り損害賠償を求める裁判も起きている。こうしたことを受けて、学術会議では急きょ、会長談話を出すことを決めた。
談話の根拠として、2005年に英医学誌ランセットで発表された治療上の効果はないとする論文などを重視した。「物質が存在した記憶を水が持っている」などの主張も荒唐無稽だと指摘。英国下院科学技術委員会が出した科学的根拠がないとする勧告や、英国医学会が出した「ホメオパシーは魔術」という宣言も参考にした。
国内では主に1990年代後半から、日本ホメオパシー医学協会など複数の団体が実践、普及を進めている。同協会は、この療法を指導、指示するホメオパシー療法家の養成学校を北海道から沖縄まで全国7カ所に設置している。利用者数など詳しい実態は分からないが、食品添加物や農薬など化学物質を避けようという「自然派」志向の女性らの間で広がっている。雑誌などで「効果」をPRする著名なタレントや歌手、俳優もいる。治療に導入している大学病院もある。医学協会は、計20以上の診療所や歯科医院、動物病院と提携している。(岡崎明子、長野剛)
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会長談話について、日本ホメオパシー医学協会は「ホメオパシーの治癒効果は世界中で広く認められている。きちんと調査することもなく、荒唐無稽と断定する極めて非科学的な態度にあきれている。世界的にも普及しており、日本学術会議の見解、認識は世界の情勢と著しく乖離(かいり)している」などとするコメントを寄せた。
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〈ホメオパシー療法〉植物や昆虫、鉱物などの成分を限りなく薄めた水にして砂糖玉に染み込ませた「レメディー」を、飲み薬のようにして使う民間療法。がんや皮膚病、精神疾患などほぼすべての病気を治療できる、と普及団体は主張している。
欧州では200年の歴史があり、一部の国では公的医療保険も適用されてきた。しかし、治療上の効果はないとする研究が相次いで発表された。ドイツでは2004年から保険適用をやめた。
- asahi.comより引用 -
『ホメオパシー』は、「極度に稀釈した成分を投与することによって体の自然治癒力を引き出す」という思想に基づいて、病気の治癒をめざす民間療法で、200年以上前に生まれたものですが、私がこの療法に否定的な理由は次の理論にあります。
ある病状を引き起こす成分をそのままでは有毒であるので水によって極めて高度に希釈したものを砂糖に染み込ませる。
希釈の度合いは様々であり、10倍希釈を9回繰り返したものを9X、100倍希釈を200回繰り返したものを200Cなどと表現する。
最もよく用いられるのは30C、すなわち10030=1060倍に希釈したものである。これがいわゆるレメディーである。
希釈の度合いは、通常の科学的常識に反し、薄めれば薄めるほど効くとされる。
このようにレメディーの元となる薬効成分は多くの場合極めて高度に希釈されており、元となる物質は1分子も含まれていないが、そこには元となる物質の「オーラ」や「波動」「パターン」が染みこんでいて、1分子も含まれていない毒物(成分は1分子も含まれていないためリスクは全くない、という)の「パターン」や「波動」に対する体の抵抗力を引き出すことにより、自己治癒力などが高まるとする。
ホメオパシーのレメディーが効くかどうかは波長が合うか合わないかで決まるので、本質的には必要な波の影響しか受けない。それゆえホメオパシーのレメディーは必要な時にしか効かず、健康体の人にレメディーを処方しても何の効果もない。
ある病気の人に適切なレメディーを処方した時のみに効果がある。
- wikiより抜粋 -
もうちっとイメージが湧くように説明すると・・・
薬または原材料から抽出した原液を一滴、水かアルコールを99滴、それを混ぜて(希釈)激しく振る。
これで濃さは100分の1で、これを1C(と呼ぶそうです)。
濃さ1/100の1Cを1滴、それに対して水を99滴。これで2C。濃さは10000分の1。
2Cを1滴、そして水を99滴・・・・・・と続けていくと、上の記述にある最もよく用いられる30Cのレメディの濃さというのは、1000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000分の1(10の60乗)という天文学的数字^^;
簡単に言うと、「
1ccの原液を地球の全海水に溶かして薄めるよりももっと薄い」のです(笑)
ホメオパシーの団体は、「原液の物質は分子レベルで分析しても1分子も検出されないレメディを使う」と言っているので、日本学術会議に『ただの水』だ!とか『副作用はない』のは当たり前!と言われるのはもっともだと思います^^
なので私は、ホメオパシーは偽薬を処方しても薬だと信じ込む事によって何らかの改善がみられるという『プラセボ効果』によって症状がよくなることがあるだけで、医療ではないと思っています。
ホメオパシーを信じている人にとやかく言うつもりはありませんが、今回の日本学術会議の談話でもっとも大切なことは、「
ホメオパシーを受けている人の中で通常の医療を拒否して、死亡したり症状が悪化したりしている」ことです!!
山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故だけでなく、ホメオパシーのみの治療により死亡したりする例が相次いでいます。
ホメオパシー治療により、病気の症状が悪化したり激しく出ることがありますが、ホメオパシーの協会は、
『それは治療で自己治癒力が向上したことの証しの「好転反応」で、「有り難いこと」なのだ。薬と併用するとこの反応を抑えてカラダの負担になってしまうから、持病の薬以外は使わないように。』
などのような理論を持ち出してきます。
そして、この極論を信じた結果、患者は症状が悪化しても「良くなっている」と思いこみ、病院に行くのを拒否し、死亡または悪化したということになっているのです。
「害のない自然な療法」としてホメオパシーが、日本でも自然派志向の女性層を中心に人気が高まりつつあるらしいですが、「自然=安全=効果がある」ではないし、ひとつの医療に頼りきるのはとても危険です。
「現段階でホメオパシーを信じる人はそれほど多くないが、医療現場から排除されないと『自然に近い安全で有効な治療という誤解』が広がり、欧米と同様の深刻な事態に陥ることが懸念される」、「(非科学性や無効果である点を)十分理解した上で個人的に使うことは自由だが、科学的根拠は明確に否定されており、科学的に否定されたものを医療関係者が治療に用いることは通常医療を遠ざけることにつながり、厳に慎むべき行為であり、多くの方に是非御理解頂きたい。」とした日本学術会議の今回の発表は、必要なものだったと思います。
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