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子供と運動 その1

2010年05月15日 23:59

運動神経がない・筋力トレは高校になってからしないといけない・スポーツ嫌いなど、子供の運動能力やスポーツに関する話は色々とあります(真偽は別にして…)。

今回、そんな「子供と運動」に関することを数回にわたり紹介していきたいと思います





さて、まずこちらのグラフをご存知でしょうか?
Z7 graph
このグラフは、『スキャモンの成長曲線』といい、子供のスポーツ指導やトレーニングの説明のときによく使われます。

20歳のレベルを100%として考え、各体組織の発育の特徴を一般型・神経型・リンパ型・生殖型の4パターンに分けてグラフ化したものです。
 
それぞれを説明すると・・・

[ 一般型 ]
一般型は、身長や体重・各臓器・血液量などを示します。
乳幼児期に急激な発育をした後、少し緩やかになり、二次性徴がおこる思春期に再度急激に発育し、大人のレベルに達します。

[ 神経型 ]
神経型は、知能や運動機能の発育に関係し、脳の重量や頭囲で測定されます。
神経系は、身体の中でもいち早く発育する部分で、出生後より急激に発育し、4・5歳までには成人の80%程度に発達します。また、この時期は神経細胞と神経細胞がつながやすく、この時期の子供を『ゴールデンエイジ』とも呼びます。何をやってもすぐできてしまう頃です。(『即座の習得』)

[ リンパ型 ]
リンパ型は、体の免疫機能に関する組織を示します。
生後から10代前半まで急激に成長し、その後成人レベルまで下がっていきます。

[ 生殖型 ]
生殖型は、男児の陰茎・睾丸、女児の卵巣・子宮などの発育を示します。
一次性徴と共にわずかに成長し、二次性徴がおこる思春期に急激な発達をします。生殖器系の発育により、男性ホルモン・女性ホルモンの分泌も多くなり、短期間に子供の身体から大人の身体へと成長する時期です。



このグラフから、子供の成長は段階的に起こり、時期によって運動のさせ方を考える必要があるということがわかります。

闇雲に運動をさせるのではなく、子供の成長に合わせていかなくてはいけません。
運動が苦手な子や嫌いな子は、もしかすると運動への取り組み方や環境が原因でなっていることもあります。



次回は、スキャモンの成長曲線ともうひとつのグラフと共に、≪幼児期~小学生≫ ≪小学生高学年~中学生≫ ≪高校生~≫ の3つに分けて、「子供と運動」に説明していきますね

  ・・・⇒ つづく

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子供と運動 その2

2010年05月19日 00:12

前回の「子供と運動 その1」では、スキャモンの成長曲線の説明をしました。
そして、子供の成長は段階的に起こり、時期によって運動のさせ方を考える必要があると書きました。

今回は、≪幼児期~小学生≫ ≪小学生高学年~中学生≫ ≪高校生~≫ の3つの時期に分けて書いていきますね


まずその前に、こちら↓のグラフを見てください
Z8.gif
このグラフは、運動能力と体力の発達をグラフ化したものです。
スキャモンの成長曲線に似たところがありますね。

A:神経系 B:呼吸・循環系・筋持久力 C:筋系 はそれぞれ発達のピークが異なります。

このピークに合わせて運動のさせ方を考えることが大切になります。

そして、このピークは≪幼児期~小学生≫ ≪小学生~中学生≫ ≪高校生~≫の時期で考えることができるのです。





それでは、スキャモンの成長曲線と運動能力と体力の発達のグラフを参考にしながら、各時期の具体的な「子供と運動」の説明をしていきます^^


≪幼児期~小学生≫

この時期は、神経系の発達がもっとも活発な時期です。

なにをやっても身につくといってもいいくらい、身体の動きを覚えることができます。
赤ちゃんがハイハイからたっちして、そして歩く・走る・投げる・捕る・転がる・跳ぶ・泳ぐ・自転車にのるなど様々な運動を、身体を使い体験することで、新しい動きを覚えることができます。

この時期に、身体の基本的な運動の動作を獲得することができるので、この時期には、とにかく色々な運動をさせることが大切になります!


外での遊びには、重要な動作が多く含まれています。

例えば…、「鬼ごっこ」では、走るという動作だけでなく、鬼との間隔を測る空間認知の能力やとっさにタッチをかわす能力、物の上に登る動作、急に止まったり走ったりする動作・転んだときに手をつく動作など様々な動作や能力が必要になります。

また「ドッチボール」では、投げる・捕る・かわす・転がる・跳ぶ・仲間&敵との距離を測るなど大切な動作が多く入っています。

このように遊びのなかには、大切な動作が多く含まれているのです。

なので、この時期は、ひとつの運動だけでなく様々な運動を体験させてあげましょう。

また、習い事としてひとつのスポーツだけをさせる方もたまにみえますが、それよりもこの時期は色々な運動をさせることが大切です。
この時期は、スポンジのように身体の基本的な運動の動作を覚えることができるのですから、まず基本的な動作を身につけさせてから、ひとつのスポーツをさせる方がよりスポーツパフォーマンスは優れたものになります。


そしてもうひとつ、とても大切なことがあります。

それは、体を動かすこと・スポーツをすることの楽しさを覚える最初の時期であるということです!

運動をする楽しさを覚えるのも、この時期が大切になります。

大人になってからスポーツの楽しさを知ったという方もみえるかも知れませんが、この時期によって体を動かすことが好きになるか嫌いになるか左右されるといっても過言ではありません。

とくに楽しんで体を動かすことができる『遊び』をいっぱいさせてあげましょう。
そして、遊びのなかには「仲間」「遊び相手」など、人とのコミュニケーションが大切ですから、そういった相手を思う能力・仲間意識なども覚えていくのです。



このように≪幼児期~小学生≫の時期は、子供が楽しく、色々な運動をすることが大切な時期となります。



余談ですが・・・

最近の子供たちは、あまり外で遊ぶことをしないようです。
「縄跳びができない」「子供の走り方がぎこちない」「前転ができない」「ボールがうまく投げられない」「転んだときに手が出ない」「すぐ座り込む」などの子供たちの体力低下の話を聞いたことはありませんか?
基本的な動作を身につける前に成長してしまう子供がとても多いのです!
そして、基本的な運動ができず体育の授業やスポーツでも上手くすることができないと、体を動かすことが嫌いになってしまうのです。

子供たちの体力低下が著しいのは、社会問題です。
体を動かすのが嫌いで健康を害したら、生産力・医療費・人口など色々な問題にからんできます。

ぜひとも、子供たちには、体を動かすことの楽しさを覚えてもらいたいです。
そのようにさせるのは、大人の役目が大きいのではないしょうか?



 ≫次回に続きます

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子供と運動 その3

2010年05月21日 00:07

前回の「子供と運動 その2」の続きです。。。
Z7 graph Z8.gif


≪小学生高学年~中学生≫

この時期は、一般型の呼吸・循環器系、骨の成長、筋持久力の発達がもっとも活発な時期です。

体が大きくなり身長が伸びるのもこの時期で、それに伴い、呼吸・循環器系も体に合わさないといけないのでよく発達します。

なのでこの時期は、持久力をつける運動をさせるともっとも効果的になります!

いわゆる有酸素運動のことで、呼吸・循環器系の発達が活発なときに有酸素運動をすれば、より成長してくれます。

大人になってからは持久力が伸びないということではないので安心してください。
大人になってからでも有酸素運動を続ければ、確実に呼吸・循環器系は発達します。
ただ、この時期にやっておくことで土台が作り上げられ、大人になってからのスタート位置や体力に影響してくるのです。
特に、特定のスポーツで上を目指そうという人は、この時期の持久力トレーニングは大切になります。


また、身体が急激に成長する子もいる時期ので、無理な負荷・負担を与えすぎてオスグット病やケガにならないよう注意が必要です。
無理に続けさせるよりも先を休ませてあげるほうが将来を考えればいいと思います(先生&コーチ&医師などとしっかり相談しましょう)


そしてこの時期は、なぜするのか、どうやってやればいいのかを考えることができる時期でもあります。

運動の意味や必要性を教え、正しく理解させて、自分で考えてできるようにさせることもこの時期からは大切になります。
どちらかというと学校や体操教室などでは、メニューを決めれていてそれをこなすということが多いですが、この年齢になれば、正しく教えれば自分で考えて行うことができます(大人のフォローは必要ですが)。
この時期に、理解させることで大人になってからも考えて運動ができます。


このように、≪小学生高学年~中学生≫の時期は、持久力系の運動を積極的にさせるとよい時期となります。


余談ですが・・・

この時期の筋力トレーニングについては、専門家でも意見が分かれるところです。
あまりに高負荷の筋トレで身長が伸びないなどの話はよく聞きます。
私の意見としては、体が成長しきるまでは高負荷の筋トレをさせないほうがいいと思っています。
ただ、スポーツを行う上で必要な筋肉については、低負荷の筋トレで必要最低限の筋力をつけるべきです。
あまりに筋力がないと怪我につながってしまいます。

また、低負荷の筋トレを行う際に正しいフォームや回数・理論を身につけさせておけば、成長したときの筋トレに役立つはずですから、この時期にしっかり正しい動作を覚えさせましょう。




≪高校生~≫

この時期は、生殖器系の発育が著しく、性ホルモンにより骨格筋の発達が著しい時期です。

なのでこの時期は、筋力トレーニングや瞬発系トレーニングなど力強さをつけさせると効果的です。

ただこの時期に注意が必要なのが、個人差男女差です。

子供の成長は、ひとりひとり違います。遅い子もいれば、早い子もいます。
二次性徴も女性の方が早く、男性の方が女性に比べて遅いです。(これも一般的にですが)

性ホルモンにより骨格筋の発達がよいからといっても高校で急に身長が伸びる子もいて、全員がハードな筋トレができるという訳ではないので個人の発育にあわせた運動をするように注意が必要になります。
そして、女性では貧血や生理などの問題も多くなってきますので、運動の内容や体調管理など注意が必要になります。


また、精神面も急激に成長するのもこの時期です。

身体だけでなくココロの成長を大切にして、個人としての意識、仲間との意思疎通、運動に対する意識・楽しさ・理解など、精神面の成長も大切にしてあげましょう。


このように≪高校生~≫の時期は、個人差・男女差に注意しながら筋力・瞬発系トレーニングをさせるとよい時期になります。


余談ですが・・・

大人になっても、というか死ぬまで筋力トレーニングは有効です!
スキャモンの成長曲線や運動能力と体力の発達のグラフでは20歳を基準になっていますから、発達しないような印象を受けがちですが、発達量は減りますが効果がないという訳ではありません。
怪我や病気・介護などの面からみたら、年をとったあとのほうが運動の重要度は上かもしれません^^




次回に続きます

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子供と運動  まとめ

2010年05月23日 23:57

ここまで、『子供と運動』について、その1その2その3と書いてきましたが、「子供と運動」について少しはわかっていただけたでしょうか?

いままでのことをまとめると・・・



Z7 graph Z8.gif
≪幼児期~小学生≫

神経系がもっとも発達し、色々な運動・遊びを体験させて基本的な運動の動作を身につけさせることが大切です。
また、子供が楽しんで遊び・運動できるように工夫して、運動をする楽しさを覚えさせてあげましょう。



≪小学生高学年~中学生≫

呼吸・循環器・筋持久力がもっとも発達する時期なので、持久力系の運動を積極的にさせましょう。
運動の意味や必要性を理解させて、自分で考えてできるようになることも大切です。
ただし、ひとりひとりに気を配り、フォローを忘れないように。



≪高校生~≫

生殖器系が発達し、性ホルモンの分泌により骨格筋の発達が著しい時期なので、筋力・瞬発系トレーニングを積極的にし始めるとよいです。
ただ、個人差・男女差・精神面への注意は怠らないようにしないといけません。





大人と子供は同じではありません。

子供の身体は段階を追って成長していきます。

子供の成長の段階にあった運動をしていく必要があります。

例えば、小学生のときに高負荷の筋力トレーニングをしてもあまり効果が期待できないように…。
それよりも神経系の発達を生かして多くの運動を体験させてあげることのほうが子供のためになるのです。

ただ単に大人と同じように運動をさせては効果がないばかりでなく、怪我につながることもあるので、子供の運動には子供の成長を把握して行わなければいけないのです。


また、子供にとって、運動が「楽しい」「喜び」と感じていることがもっとも重要なことです。

いままで書いてきた内容もこの前提があってこそです。

人間は「楽しい」と脳が活発に活動して、経験をより吸収するようになり、意欲も生まれます。
また、苦しいこと・難しいことを乗り越えられた時に一番ドーパミンという物質が分泌されて、「喜び」「達成感」を感じます。

だから、楽しんで運動をさせて、苦しいこと・難しいことにチャレンジしていくことで「喜び」「達成感」を感じ、より成長していくのです。


いままで書いてきたことに注意しながら・・・

子供の成長にあった運動を楽しくさせてあげるようにしましょう!!




余談ですが・・・

今回採りあげた「子供と運動」の話は、子供のスポーツ指導でよく言われている内容です。
しかし、なかなかこのようにはいっていないのが現状かもしれません。
小学校・中学校・高校の部活動では、およそ3回は指導者が変わるからです。
そして、指導の内容の引継ぎが行われることはほとんどありません。
もしスポーツ選手として活躍させる場合には、重要な話になってきます。

「子供と運動」を採りあげた理由のひとつとして、スポーツ選手を目指す子供の親・指導者に向けて書いたところがあります。
すべての人が環境(指導者・資金など)に恵まれているわけではないので、多くの人に知ってもらえばちゃんとこのように実行され、少しでも子供の役に立つのではないかと思ったからです。
もしスポーツを頑張っている子供がいたら、すこしこの話を気にして応援してあげてください。

すべての子供がスポーツ選手を目指している訳ではないですが、運動をすることが好きな子供はいるわけです。
できることなら、運動が好きな子供ばかりになってほしいものです



以上で『 子供と運動 』 編 終わりです。
数回に記事がわたり長い話になりましたが、お付き合いありがとうございました!

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