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薬の話-0  はじめに 

2010年10月07日 20:50

私たちがなにげなく飲んでいる“ 薬 ”。

しかし、意外と薬について知らないことがたくさんあります。

カテゴリ『薬の話』では、そんな“ 薬 ”に関係する様々な事柄を採りあげていこうと思っています^^


ここでは、とにかく薬にまつわることであったら、どんなことでも採りあげていくつもりです

例えば・・・、薬の種類・薬の効く仕組み・薬の飲み方使い方・病気と薬・薬の歴史・薬を扱う資格・飲み合わせ・副作用・市販薬・ワクチン・漢方薬   etc.

知っていることも知らないことも、間違えて覚えていることも色々とあると思います。

どんな薬も身体になにかしらの影響を与えるものなので、正しい知識のもと使用しないといけません。


正直、私も“ 薬 ”に関してまだまだ知らないことがたくさんあるので、半分は自分の勉強もかねています

現在正しい・効果があると思われていることも、将来はどうなっているかわかりません(例:サリドマイドやキノホルム・DDTなどなど)

正しい知識と刻々と変わる情報に目を向けながら、一緒に“ 薬 ”について勉強していきましょう


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[薬の話] くすりの形状

2010年10月11日 23:58

『 くすり 』と単に言っても、その種類はとても膨大です。

家にある救急箱の中身を見てみても、実に様々な薬を使っていることが分かりますよね^^

今回は、そんな薬の種類・使用方法に関して採りあげていきます




さて、薬は効き目が似てたり、入っている成分が同じでも様々な形状をしています。

そのため、薬は使い方や服用方法が異なり、複雑なことが多いです。

薬の効果を最大限に発揮させ、副作用を最小限に抑えて使うためには、薬の効果や使用方法を正しく理解して使うことが重要になってくるのです



まずは、主なくすりの剤形(医薬品を患者に投与できる形に整えたもの)についてです。


剤形を大きく分けると・・・、主に全身作用を目的とする①内用薬②注射薬と、主に薬の投与部位に直接働く局所作用を目的とする③外用薬 に分けることができます。

さらに詳しく見ていきましょう↓


 ① 内用薬(内服薬) … 口から摂取して、胃や腸で吸収させることを目的としたくすり

錠剤 【 錠剤 】

 薬の成分をそのまま一定の形に成型したもの。
 糖などで皮膜を施し、飲みやすくしたものも多い。
 胃・腸・口腔・舌下など任意の場所で溶けるように作られている。


カプセル剤  【 カプセル剤 】

 液状や粉状の製剤をゼラチンなどでできたカプセルに入れたもの。
 カプセル自体の成分や厚みなどから任意の場所で溶けるように作られている。
 そのため中の薬だけを飲むのは厳禁です!!



散剤 【 散剤 】

 薬の成分を粉末または微粒状に製したもの。
 薬の成分がむき出しなので、早く吸収され、効果も早くあらわれる。


液剤 【 内用液剤 】

 薬を水やアルコール・シロップなどに溶かしたもの。
 日本では子ども用として使われることが多い。
 1回ごとに計量するため服用量に注意が必要。




 ② 注射薬 … 注射針を用いて皮内、皮下・血管内などに直接投与する液状のくすり

注射薬 注射の方法には、皮内注射・皮下注射・筋肉注射・静脈注射・動脈注射などがある。

 注射薬は、皮膚や血管に直接注入するため消化器官を通らず、効果の発現が早く、投与量も少なくてすむ。
 また、患者に意識が無くても投与が可能で、消化管から吸収されにくいものや消化や代謝を受けることで効果が無くなるものも投与することができる。

 また、内用薬・外用薬などと違い、皮膚や粘膜などの防御する組織がまったくないため、注射薬は無菌であること、不溶性異物がないこと、浸透圧やpHが血清とほぼ等しいこと、組織障害性がないことなど厳しい基準が設けられている。



 ③ 外用薬 …  皮膚や粘膜に直接使用し、その使用部位に効果をもたらすくすり
         (※ 局所ではなく、全身に作用させるものもあります。)

727px-Ointments.jpg 【 軟膏剤 】

 薬剤とワセリンなどを元に適度な粘度の半固形状のもの。
 皮膚に用い、有効成分を長く皮膚にとどめる。



貼付剤 【 貼付剤(ちょうふざい) 】

 布またはプラスチック製フィルムなどに有効成分を延ばし、患部または全身に作用させるため皮膚に粘着させるもの。
 水分が多いため肌への密着度が高く、薬効成分が効率的に浸透しやすい。



点眼薬 【 点眼・点耳・点鼻薬 】

 目・耳・鼻に直接投与する液状の薬(軟膏のものもある)。
 容器の先が患部に触れると細菌に汚染されることがあるので、使用後はきれいに。



口腔用剤 【 口腔用剤 】

 口内や喉の殺菌・消毒のためのものです。
 水に溶かして使用するものや液状になっているもの、薬剤を口内で徐々に溶かしていくものなど、様々なタイプがある。



吸入剤 【 吸入剤 】

 鼻・口・喉などに、直接薬剤を吹き付けるもの。
 主に呼吸器系の病気に利用され、気道の換気の改善を図る目的に使われやすい。



坐薬 【 坐薬 】

 内用薬の代わりに肛門や膣に挿入し、直腸や膣から薬剤を吸収させるためのもの。
 坐薬は作用が強い成分が使われるため、けっして口から飲まないようにすること。






このように、くすりの形状は様々です。

では、なぜこのように色々な種類があるのか?


それは、ひとつは「効かしたい部位が違うから」。

胃に効かせたいのか、皮膚の炎症を止めたいのか、ワクチンがうちたいのか、喘息を止めたいのかなどなど、目的が色々あるため、どうしてもその目的に合わせて様々なくすりの形状を作る必要がありました。


もうひとつは、「人それぞれ身体は違うから」。

人によって副作用の出かたやアレルギー反応などがあり、一通りの方法では対処できないこともあるからです。


くすりの形状には、理由があります。

お医者さんに出された薬は、ちゃんと用法・用量をよく守って使用するようにしましょう

間違った使用方法で、より悪くなったり、違う病気が出てきたら洒落になりません^^;


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[薬の話] インフルエンザ ワクチン について

2010年10月28日 23:35

今年もインフルエンザの予防接種の時期がやってきましたね^^

患者さんでもちらほらと「予防接種をした」という方が出てきました。


さて突然ですが、あなたは「インフルエンザワクチン」をうちますか?

というのも、インフルエンザのワクチンについて調べていくと、効果があるという情報と効果がないという情報が混在しているからです。

私はワクチンについての専門家ではないので、どちらが本当だと断言できないのが辛いところです。

なので、ココでは効果があるという意見とないという意見を両方みていき、最後に私的な意見を書かせて頂くというスタイルで進めたいと思います



まずは、インフルエンザにワクチンは効果があるという意見からみていきましょう。

 ◇ 中外製薬 インフルエンザ情報サービス
 ◇ 国立感染症研究所 インフルエンザについて(どちらかというと中立のサイトかもしれません) 
 ◇ 国立感染症研究所 感染症情報センター

↑上に挙げたサイトはインフルエンザワクチンをうちましょうというスタンスのサイトです。

上記のサイトを見てくださったらわかりますが、
なぜ、ワクチンをうったほうがいいのかというと・・・

インフルエンザワクチンの接種を行うことで、インフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防し、健康被害を最小限にとどめることが期待できるから。(と言っています)

特に、高齢者、乳幼児、妊婦、慢性疾患を持つ患者、免疫低下状態の患者などの重篤化しやすいハイリスク(高危険)群に対して有効である。と言っています。



では次に、インフルエンザにワクチンは効果がないという意見です。

注意点 : 批判的な意見というものには、過激な意見やあたかも本当らしく書いてあることも多いです。その点を注意し、すべてを鵜呑みにしないで読んでください。)

 ◇ 日本を守るのに右も左もない(ブログ)
 ◇ たぬき先生のお部屋 インフルエンザ100の質問と回答
 ◇ カンガエルーネット 前橋レポート
 ◇ カンガエルーネット  厚生労働省によるワクチン効果研究の問題点

多分、これら以外のサイトにもまだまだあると思います。

なぜ効果がないのか、要点をまとめると・・・

 ・ 感染経路を通じて小変異を繰り返すインフルエンザウィルスは、ワクチンを製造している間に違う型に変異してしまっている。

 ・ 不活化ワクチンの皮下接種では、感染防御の中心的役割を果たす気道の粘膜免疫や、回復過程に重要である細胞性免疫がほとんど誘導されず、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御することはできない。

 ・ 副作用があり、死亡する例もある。

 ・ マスメディアと製薬会社の利益のために行われている。



両方の意見を見て頂きましたが、いかがだったでしょうか?

どちらのいっていることも正しいように感じてしまうが、否定派の方が説得力があり、ついつい信じてしまいそうになりますね(笑)


インフルエンザの型があわなければ効かない。ワクチンうてば絶対にかからないということはない。というのはどちら側も言っています。

ただそれを効果がないというのは難しいところだと私は思います。

予防接種したことにより重症化のリスクを下げることができるなら、効果としては有効だと思います。

ただし、そこに副作用もあるということを認知した上で使用を考えなければいけません。


また、集団接種が義務化されていないということが効かないことと同義ではないです。

どうしても国・医師・製薬会社の関係のせいか、様々な研究や調査の情報が真偽問わずあるので、最終的には任意という形になっています。

なので、最終的な判断は自分で下すしかありません。


最後に、インフルエンザの予防は、うがい手洗いと、十分な栄養や睡眠休息をとり免疫力を低下させないことが基本であることを忘れないようにしてください。

また、ワクチンの効果は免疫力に比例し、過労・ストレス・睡眠不足や不摂生な生活をすれば身体の免疫力そのものが低下するので、ワクチンを接種したから大丈夫と過信することがないよう注意してください。




どうしても、私は専門家ではないのでどっちが正しいとは言えないため、なんとも無責任な形・未完結な感じになっていまいましたm(_ _)m

意見や批判がありましたら、どんどんコメントしてください
より充実した記事に出来るようコメント待ってます。

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[薬の話] くすりの体内での動き その1

2010年12月27日 00:01

私たちは、普段なにげなく薬を服用していますが、いったいどのようにして体に作用しているのでしょうか?

頭痛で頭痛薬を、高血圧で降圧薬を、腰痛で痛み止めを、食欲不振で胃腸薬を、アトピーで軟膏を、風邪で点滴を、うつ病で抗うつ薬を、鼻炎で点鼻薬を。。。
くすりには多種多様の形状があり、効かせる部位も違えば、くすりの効かせ方も違う。

今回は数回にわたり、「 体内に入ったくすり 」 について採りあげていこうと思います

(別に知らなくてもお医者さんから出されたものを飲めばいいじゃん!という人もみえると思います^^;
確かにその通りなのですが、くすりの効く仕組みを知ることは安全なくすりの使い方を学ぶことに繋がり、市販品の買い方・使い方に繋がります
ある程度知っていることは損にならないと思います。あとは興味本位・教養として読んでみる。と思っていただけたなら嬉しいですね(笑))

   - 目次 -
 ・ 基礎編 ~はじめに~
 ・ くすり の 吸収
 ・ くすり の 分布
 ・ くすり の 代謝
 ・ くすり の 排泄






 ○ 基礎編 ~はじめに~

前の記事「 くすりの形状 」で、くすりには様々な形状があることを説明しました。

そこで、大きく3つに分けられるといいました。
① 内用薬(内服薬) … 口から摂取して、胃や腸で吸収させることを目的としたくすり
② 注射薬 … 注射針を用いて皮内、皮下・血管内などに直接投与する液状のくすり
③ 外用薬 …  皮膚や粘膜に直接使用し、その使用部位に効果をもたらすくすり


この3つは、くすりの形状が違うので、くすりが効く仕組みも多少異なってきます。
どう違うのか?について詳しくは、この後の記事で書いていきますね^^


さて、まずはじめに簡単な「体内に入ったくすり」の流れを説明しておきますね

目次にあるように、くすりは 【 体内への吸収 → くすりの代謝・分布 → 排泄 】 というように体を巡ります。

くすりの形状・使用方法によって代謝と分布は前後しますが、おおまかにこのような流れになっています。


例えば、飲み薬(内服薬)の場合だとこうなります

①吸収 - 飲んだくすりは主に小腸で吸収され、肝臓にいきます。
  ↓
②代謝 - 肝臓を通過する時に一部分解(代謝)され、体内を循環する血液に入ります。
  ↓
③分布 - 心臓を通り、血液の流れに乗って移動し、毛細血管を通り抜け各部位の細胞へ届きます。
  ↓
④排泄 - 徐々に分解され、腎臓から尿中へ、また肝臓から胆汁中へと排泄されます。

 くすりの流れ

服用したくすりは、全身を巡りながら徐々に分解され排泄されるのです。

吸収と分布は効き目の速さに関係して、代謝と排泄は効き目の持続時間に関係しています。
はやく吸収・分布されれば、効き目が速くなり、代謝と排泄が遅ければ、効き目が長持ちするのです。


病気の症状・くすりに対する体質・くすりの成分などにより体内の中にある期間はまちまちですが、必ずくすりはある時間になったら効力を失ない、排泄されるように作られているので、症状によってくすりの用法・回数が決まっているのです

一度の飲んだらずっと効くというくすりはなく、逆にずっと効き続けるというのは怖いわけです。
(降圧剤により血圧が下がり過ぎたり、睡眠薬によりずっと寝たままではいけませんし、副作用が起こることもありますから^^)



このようにして、くすりは体内のなかを巡っています。
基礎ということで簡単な説明でしたが、わかっていただけたでしょうか?

次回からはもう少し詳しく説明していきますね


 ・・・≫ つづく

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[薬の話] くすりの体内での動き その2

2011年01月04日 23:40

前回「くすりの体内での動き その1」の続き。




 ○ くすり の 吸収

飲み薬を飲んだとしても体に吸収されなければ意味がありません。
私たちがくすりを使用した場合、投薬部位から目的の部位までくすりの成分が到達しないといけないのです。

そのためには、くすりの成分が投薬部位から血液中に吸収される必要があります

くすりの形状により血液中への吸収方法は違いますが、血液中に入ることで目的の位置まで届き、効果を発揮することができるのです。


では、どのようにしてくすりは血液中に吸収されるのでしょうか?


 ① 内用薬(内服薬)の場合  (くすりの形状に関してはコチラへ)

くすりを口から飲むとまず、胃にいきます。
胃に入ったくすりは、胃液により皮膜やカプセルが溶かされ、くすりの成分が放出されます。

一部のくすりは胃で吸収されるのですが、多くはそのまま胃の内容物(食べ物など)と共に通過してしまいます。

では、どこで吸収されるのかというと、ほとんどの内服薬は “ 小腸 ” で吸収されます。
(このとき、胃で溶けず、小腸で溶けるくすりもあります。)

小腸には腸絨毛とよばれるテニスコート1面分の表面積にもなる無数の突起があるため、くすりの成分を吸収するには適しているのです。
ここで小腸の毛細血管に吸収され、吸収されたくすりの成分は肝臓にいくことになります


 ② 注射薬・外用薬の場合

注射薬や坐薬・軟膏などは、投与した部位の末梢血管に入り、そのまま心臓にいき、全身へと運ばれます

口から飲む内服薬とは違い、肝臓を通らずに直接心臓にいきます。
なので、胃腸で効果が薄れるものや肝臓で分解されやすいくすり、意識が無く口から飲めないときなどの場合には、この方法が用いられるわけです。

また、口からでは成分が強く胃を荒らしてしまうものも使うことができるし、注射薬・外用薬は体内への吸収が速く、急な治療にも便利なのです。



このようにして、くすりは体内に吸収され、目的の位置までいくことになります。
患者の症状・状況などによって、くすりは一番効果のある吸収をとっているのです


また、同じ成分のくすりでも吸収のされ方が異なることもあります。

吸収されるスピードが速すぎると、くすりの成分に対する血液濃度が高くなりすぎて過剰反応を引き起こします。
逆に遅すぎると、薬の大半は吸収されずに便と一緒に排泄されてしまいます。


このように吸収が速すぎても遅すぎてもいけません。
医師や製薬会社は薬が望ましい速度で吸収されるように考えて製造・処方しているのです。

しかし、たとえそのように考えられても年齢・食べ物・その他の薬・消化器疾患などによって、薬の吸収や体内での利用率を左右されることがあります。

例えば、高齢者では、胃腸の調子から錠剤やカプセルが溶けずにそのまま便として排泄されることがありますし、高繊維質の食品が薬とくっついてしまうと、薬が吸収されないことがあります。
また、消化管での食べものの通過を促進する下剤を使ったりすると薬の吸収が低下する場合があります。
胃や結腸など消化管の一部を手術で切除した場合も、薬の吸収に影響することがあります。


医師は、くすりの吸収を考慮して処方されていますが、このように多くの要因によって効果が左右してしまうことがあります。

なので、私たちは用法・用量・保管方法をしっかりと守り、狙った吸収方法・速度になるようにしましょう



   ・・・≫ つづく

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[薬の話] くすりの体内での動き その3

2011年01月10日 16:19

前回「くすりの体内での動き その1その2」の続き。




 ○ くすり の 分布

内服薬は、口から摂取した後、小腸で吸収され、血液中に入ります。
注射薬・外用薬は、投薬した部位の末梢血管から血液中に入ります。

このようにして血液中に吸収されたくすりは、心臓を通り、血液循環に入って全身を巡り、分布していきます。

血流速度は大動脈で秒速40~50㎝、毛細血管で秒速0.07㎝といわれているので、心臓から出て心臓に戻ってくるまでの血液の平均循環時間は1分くらいしかかかりません。

吸収されたくすりは、血液の循環とともにすぐに分布することになるわけです。


もうすこし詳しくみていきましょう

まず内服薬は、小腸で吸収されたあと、すぐに肝臓にいきます。
吸収されたくすりは肝臓で代謝され、一部代謝されなかった薬が血流にのって全身に運ばれることになります。

一方、注射薬(静脈注射の場合)は、血液中に直接投与されるので、すぐに全身へ分布することになります。


分布しているときの血液中では、くすりの多くは血漿タンパクと呼ばれるタンパク質と結合することになりますが、結合しなかったものがくすりとして効果を現し始めます

(結合していないくすりが分散し、血液中の薬の濃度が低下すると、タンパク質に結合していたくsりが徐々に放出されていくこともあります。)

そして、効果を発揮したあと、くすりの多くは血液循環に戻ることになります。

多くのくすりは、化学物質なので体にとってはあくまで異物です。
体内に残ってしまうと中毒症状や副作用を起こすことになるので、分布・循環の過程でくすりは一定の時間内に体内から消失するようにつくられています。

このように、体内での分布・循環を繰り返して効果を発揮しながら、徐々に体内から出ていくという流れになっているのです。


   ・・・≫ つづく


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[薬の話] くすりの体内での動き その4

2011年01月12日 23:29

前回「くすりの体内での動き その1その2その3」の続き。




 ○ くすり の 代謝

いままで「代謝」という言葉を何回か使ってきましたが、よくわからないといった方が多かったのではないでしょうか(^_^;?

というわけで、まず簡単に「代謝」について説明していきますね


くすりの多くは、化学物質なので体にとってはほとんどが異物です。
そのまま体の中にあると、中毒症状や副作用を起こす危険性が高くなってしまいます。

なので、くすりを分解し、体の外に排泄できる物質(代謝物)に変化させてやる必要があります。

このような体内でのくすりの化学変化のことをくすりの「代謝」といいます。

もっとわかりやすく言えば、体内に入ったくすりが分解(無毒化)されて、効果を失って体外に出ていける状態になることです

(多くのくすりは代謝されることで効果が弱くなったり、消失したりしますが、一部のくすりは代謝によってくすりの効果が出てきたり、あるいは毒性が増強されたりすることもあります。)



さて、この「代謝」が行われる場所は、“ 肝臓 ”がメインになります。

小腸・腎臓などの組織でも行われますが、もっとも大きな役割を担っているのは肝臓です。

くすりの形状によって通過するタイミングは異なりますが、ほとんどのくすりは肝臓を通ることになります。
この肝臓を通過する際、くすりの代謝が行われるのです。


肝臓を通過し、分解されたものは排泄されますが、分解されなかったものは血液にのって、目的の部位で効果を発揮することになります。

そして、細胞に分布しきらなかったくすりは、再び血液にのって肝臓に戻り、代謝(分解)されます。

このように、くすりは肝臓で代謝・通過を繰り返しながら、徐々に効果を失い、排泄されていくのです。

くすりの代謝-模式図

このくすりの体内での代謝は、数時間から数日かかるものまで多種多様です。

くすりの目的によって代謝の速度を考えられ、調節されて製造されています。



また、肝臓や腎臓で分解(代謝)され、肝臓から胆汁として腸、便へ、また腎臓から尿として分泌され体外へと排泄されます。

なので、肝臓や腎臓の機能が低下した方では、薬の用量を減量するなど調節が必要です。
(もっとも、一般的なくすりはある程度の安全な範囲を考えて用量が設定がされているので、用量オーバーで副作用が出る可能性は少ないです)

機能障害が相当進んだ方は注意が必要となります。
このような意味でも、検診などで時々血液検査や尿検査をするのは大切です。

軽い慢性肝炎などでは概ね問題ありませんが、肝臓病なら肝硬変に入ったり、腎臓病なら解毒作用低下の指標のクレアチニンが上がってきたら解毒力(代謝や排泄)が低下している可能性が高いので注意が必要になります。

肝臓や腎臓の悪い人は、医療機関にかかったり、薬を買うときには、必ず相談するようにしてください




くすりの代謝は、性差・加齢などの生理的因子や遺伝的因子、個人差、体質、喫煙、食事の有無・内容、病的状態、肝臓・腎臓の機能状態、体調などにより変動し、くすりの働きや効果に大きな影響を及ぼします。

代謝は作用・副作用などに大きく関わることので、医師にはなるべく上記のことを話したり、薬剤師の方に注意することを聞いたりするようにしましょう


       ・・・≫ つづく


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