前回の 『
身を損なわないために… 』 では、「 内欲 」 をこらえることの大切さ、またどうこらえるべきなのか具体的に説明しました。
なので、今回は「外邪」に対してどうしたらいいのかを採り上げます

(内欲の話も出てきますが大切なことなので一緒に書いていきます)
養生訓 - 第1巻より
およそ人の体というものは、弱く、もろく、はかないこと、風前の灯火が消えやすいのと同じだ。危ういことでもある。まして内から外から我が身を攻める敵が多いのであるから、つねに慎んで身を保つべきである。
まず、飲食の欲、好色の欲、眠る欲、横になる欲、あるいは怒り、悲しみ、憂いなどが身を攻める。これらは、みな自分の身の内より起こって自分自身を攻める欲だから内敵である。なかでもとりわけ、飲食と好色は、外敵を引き入れる働きもあるので、最も恐るべきものである。風・寒さ・暑さ・湿気は、体の外から入って自分を攻めるものなので、これは外敵である。
人の体は金属や岩石ではない。傷みやすいものである。まして、内と外から大敵がこのように攻めてくるのだから、内の慎みと外の防御なくしては、多くの敵に勝つことは難しい。
~ 中略 ~
内敵に勝つには、心を強くし、「忍」の一字を守るべきである。忍とは、こらえることである。飲食、好色などの欲は、心強くしてこらえ、ほしいままにすべきでない。心弱くては、内欲に勝つのは難しい。内欲に勝つには、猛将が敵を押しつぶすようにすべきである。これが内敵に勝つ兵法である。
外敵に勝つには、「畏」の一字を守るべきである。畏(おそ)れて、早く防ぐべきである。例えば、城中に篭もり、四面に敵を受け、油断なく敵を防ぎ、城をかたく守るようにするのである。風・寒さ・暑さ・湿気にあえば、畏れて早く防ぎ、退けなさい。外敵には忍の一字を禁じ、外邪を長いことこらえないようにすること。古語に、「風を防ぐこと、矢を防ぐが如くす」という。風・寒さ・暑さ・湿気の「四気」のうち、とくに風と寒さは、最も畏れなければならない。長いこと、風にあたったり寒さに震えてはならない。およそこれが外敵を防ぐ兵法である。
内敵に勝つには、勇ましく強く勝つべきである。外敵を防ぐには、畏れて早く退くべきで、勇ましいのはよくない。
口語 養生訓 - 原著:貝原益軒 訳註:松宮光伸
東洋医学では、天候・温度・湿度・気圧などの外的な環境の変化による病の原因を、外因 or 外邪といい、風・暑・湿・燥・寒・火の6つがあります。
これを貝原益軒は外敵になぞらえて説明しています。
みなさんも一度は経験したことがありませんか?
扇風機に一晩中あたりながら寝ていたら風邪をひいた。
寒いのに薄着でいたら、下痢や腰痛になった。
熱いなか運動していたら、脱水症状がでた。
雨が降ってくると、関節が痛み出しむくむ。
肌が乾燥して、唇が切れて肌が痒い。 …etc
これらはみな外敵にやられてしまった結果です。
しかし、どれも注意し畏れて予防をすれば防げるもの。
外邪にやられるかどうかは、ちょっとした予防を行うかどうかにかかっているのです!例えば・・・
ちゃんと天気予報などを確認し、気温に対応した服装を選び、不安ならすぐに脱ぎ着できるものにする。
すぐに汗が拭けるようにタオルを用意したり水分補給をする。
扇風機やクーラー・暖房の風が体に当たり過ぎないようにし、タイマーを使う。
加湿器・除湿機を使うようにする。
寒いときは我慢せず、温かい格好をしたり、ゆっくりお風呂に入り体を温める。
冷たいものを食べ過ぎたりがぶ飲みせず、体の中を冷やさないようにする。 …etc
天候・温度・湿度・気圧などの外的な環境の変化は、一日のなかでも大きく変化することも珍しくありません。
つねに畏れ、早めに対処するように心掛けましょう!!また、貝原益軒の時代(江戸時代)にはなかったクーラーやストーブにも注意が必要です。
あまりにもクーラー・暖房のきいた部屋に慣れすぎてしまうと、ちょっとした寒さ・暑さでも体が負けてしまいます。
一日のうち、クーラー・暖房を使わないで外気温に慣れる時間を作りましょう。
これもクーラー・暖房を本格的に使う前の初夏・初冬から注意し始めるようにして、本当に暑く・寒くなる前から予防していくことが大切です。
内敵に勝つために「忍」、外敵に勝つために「畏」の文字を心掛けて日々を過ごせば、「元気」を養え、健康で過ごすことができます。みなさんも、この2文字を忘れないようにして、ちょっとした気の緩みで襲い掛かってくる内敵・外敵に負けないようにしましょう
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