2013年05月13日 23:25

世界で最も硬い食品 “ かつおぶし ”
「 えっ、かつお節って発酵食品なの!? 」 と思われた方もみえるかもしれませんが、かつお節もカビという微生物を使った発酵食品です^^
鰹(カツオ)を材料とし、魚体から頭、鰭、腹皮と呼ばれる腹部の脂肪の多い部分を切り落とし、三枚以上におろし、「節(ふし)」と呼ばれる舟形に整形してから加工された物を“ かつお節 ”といいます。
新鮮なカツオの刺身やタタキはおいしいですが、冷蔵庫もない昔は獲れすぎたカツオをどうにか保存しなければいけませんでした。
そこで、かつお節という保存食にするという知恵を生み出していったのです。
そのかつお節は、湿度が高い日本ならではの“カビ”を使った世界でもユニークな発酵食品です^^
生のカツオの頭や内蔵を取り除き、重さは3㎏以上の大きな切り身を1時間ほど煮て、煮えたカツオを何度もけむりで燻していくと次第に水分が抜けて堅くなり、これを「荒節」といいます。
ここまでは世界でもみられる方法ですが、ここから日本はカビを使ってさらに水分を抜いていき、保存性を高めていきます。
水分がまったくなくなると微生物が繁殖しにくくなり、傷まないし腐らなくなるのです。
カビを表面につけることでカツオの中の水分がカビに吸われて乾燥していき、カビ付けと天日干しを繰り返していくと、水分がどんどん抜けていき最後はカビもつかなくなります。
こうして、もとの切り身の1/6まで小さくなったとっても堅い「 かつお節 」ができるのです^^
今回は、そんな普段何気なく使っている“ かつお節 ”の素晴らしさをみていきましょう

◇ 天然・無添加の食品
製造過程を最初にみてもらったのでわかると思いますが、かつお節は「燻す・カビ付け・天日干し」だけで作られています。
つまり、製造工程において一切の添加物が加わることがないということ。
最近では食品添加物が問題になっていますが、かつお節にはその心配がまったくなく、カツオの身だけでつくられる天然無添加の食品なのです

◇ 良質のタンパク質
かつお節の成分面では、なんといってもタンパク質が多く含まれているのが特徴です。
カツオは魚類の中でも最も高タンパクな魚の一つ( 100g当りの含有量で比較すると、カツオ25.8g、マグロ24.3g、サバ19.8g、マイワシ19.2g、アジ18.7g ) で約25%含まれていますが、かつお節になると約80%がタンパク質です。
生のカツオからみると1/6になっているんですから、旨味とともに凝縮されているのがイメージできますよね^^
そして、発酵の過程でタンパク質は、カビが作り出すさまざまな酵素によって、人体でつくることのできない必須アミノ酸に分解されています

必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成する 事ができない9種類のアミノ酸のことを指し、食べ物から摂取する必要があるアミノ酸の ことで、どれか1つが欠けても筋肉や血液、骨などの合成ができなくなります。
かつお節のタンパク質は、必須アミノ酸を全て含み、アミノ酸バランスが非常にいい、良質のタンパク質なのです

また、カルシウム、リン、鉄、ナトリウム、カリウム、ビタミンB1・B2・D、ナイアシン などの重要な栄養素も含まれているので、かつお節は天然の健康栄養食品ともいえますね。
良質のタンパク質と豊富な栄養素のおかげで、肌はみずみずしさを維持でき、筋肉や骨はつくられ、脳の発育もよくなるなどの効果が期待できます。
◇ 三大旨味成分の一つ イノシン酸
イノシン酸は、かつお節の美味しさの元となる重要な“ 旨味 ”成分です。
日本料理を代表する三大旨味成分は、かつお節のイノシン酸、昆布のグルタミン酸、椎茸のグアニル酸 とされています。
和食のベースになるだしの重要な旨味成分として知られています。
かつお節にはこのイノシン酸が豊富に含まれ、深い味わいを醸し出します。
イノシン酸というのは、カツオの体内にある脂質がカビの酵素によって分解されたものです。
脂質は細胞内でエネルギーを貯蔵する物質であり、高速で泳ぎ続けるカツオには、エネルギー源となる脂質が大量に含まれています。
つまり、かつお節には、たくさんのイノシン酸が含まれているということです。
動物由来の食品でありながら、そのだしに一切の油が出てないという、よく考えたら驚きのこともカビたちが脂質をイノシン酸に分解しているからなのです^^
◇ かつお節で減塩効果
かつお節には、旨味成分のイノシン酸が多く含まれることはさっき紹介しましたね^^
そんなかつお節を削り節にして、しっかりと“ だし ”をとれば、旨味が効いた料理ができます。
料理に“だし”がしっかり効いていると、その“だし”の旨味の分、塩や醤油の味付けを薄くすることができ、おいしく減塩する事が出来る。というわけです


余談ですが・・・、かつお節の消費量は全国で沖縄県がもっとも多いのですが、沖縄県と言えば日本一の長寿県として有名であり、実は食塩の摂取量が全国平均消費量の約半分で、「減塩生活」を送っている県でもあるのです。
沖縄料理の特徴は、時間をかけてしっかりと“だし”をとることにあり、代表的な沖縄料理であるゴーヤチャンプルーも味の基本はかつお節から取るだしなのです。
もしかしたら、かつお節のだしが全国平均の半分という減塩生活につながっているのかもしれませんね^^
◇ かつお節ぺプチドに疲労回復効果
ペプチドとはアミノ酸がいくつか結合した状態の物質のことで、吸収スピードがアミノ酸よりも早くて栄養効果が高いのですが、かつお節に含まれるペプチドには疲労回復効果や集中力アップの効果があるとされています。
かつお節のペプチドには、体内でエネルギーを作るときに出る疲労物質を除去したり、分解する酵素を活性化する効果があります。
これによって、疲労物質がスムーズに流れていき、疲労回復がはかられるというわけです。
また、神経細胞ニューロンに溜まっている疲労物質もかつお節ペプチドが除去するため、神経伝達がスムーズに行えるようになり、集中力や思考力が高まるのです。
かつお節は、江戸時代では旅に出る時にもって行ったそうですし、戦争時には非常食として軍隊が採用していたとか。また、南極観測隊や登山隊にも携帯されています。
昔からそういった効果が経験的に知られていたのかもしれませんね^^
◇ 高血圧にかつお節
かつお節のペプチドには、血液の流れをよくしてくれる効果もあります。
血管の詰まりを溶かし血管を広げる作用があり、これにより血圧が降下するので高血圧に効果があるといえます。
かつお節に含まれるカリウムも、塩分を体外へ排出する効果があるので、摂りすぎた塩分のために血管が縮むのを抑制し、血圧が高くなるのを防いでくれます。
また、かつお節は特定健康用食品(トクホ)としても認可されおり、薬と違い自然食のかつお節からの摂取のため、たくさんかつお節を食べても血圧が下がりすぎると言いう副作用がありません。
◇ かつお節で若返り
かつお節に多く含まれるイノシン酸は、全身の細胞を活性化させる栄養素で、細胞内でDNAを結合する物質の元となります。
イノシン酸は、細胞を活性化させる成分が酵素によって分解された成分であり、細胞の活性化には欠かせない成分なのです。
そんなイノシン酸は肝臓でつくることができるのですが、20歳を境にイノシン酸の合成能力は減退し、細胞の老化が始まります。
イノシン酸が不足すると、DNAがつくられず、新しい細胞が生まれなくなり、身体の老化が進行してしまいます。
イノシン酸を充分摂取することによって、細胞にDNAの原料を供給することができ、老化を食い止めることができる。というわけです^^
◇ 妊婦・子供・病人にもおすすめ
妊娠中は十分な栄養が必要で、とくにタンパク質をしっかりとることが不可欠です。
しかし、妊娠初期の頃はつわりなどがあり、食欲がすすまない方もいますが、そんなときにこそ、かつお節がおすすめです。
料理に少量加えるだけで、その風味によって食欲がわいてくる上、高タンパク質食品ですから、栄養も補えます。
消化能力が弱い幼児期の子供にとってもかつお節は消化しやすく、良質のタンパク質で、さらに幼児発育に必要なトリプトファンも含んでいるので、かつお節は理想の食品と言えます。
また、病人食をつくる場合、何よりも心がけなければならないのは栄養があって、消化のいいものを素材に選ぶことですが、かつお節にちょっと醤油をかけ、それをおかゆにまぶして食べるだけで、タンパク質を補え、しかもかつお節の風味が食欲を増進させてくれます。
その他にも、タンパク質が豊富な食品である豆腐は養生食として知られていますが、豆腐の場合は強肝作用のあるメチオニンというアミノ酸が少ないです。
その点、かつお節はメチオニンがたくさん含まれており、豆腐の上にかつお節をかけることは大変理にかなっており、病気の回復をサポートしてくれます。
かつお節は、日本が世界に誇る独自の文化であり、和食の根底を支える偉大な食品です。(byもやしもん)
日本の料理には欠かせないこの“かつお節”ですが、ただ使うだけではもったいない。
かつお節の素晴らしさを知った上で使えば、より効果があるし、かつお節に愛着もわくってもんです。。。
使おうと思えば毎日使えるのがかつお節の魅力のひとつでもあります。
この機会に、かつお節のことを知り、かつお節の世界にどっぷりと浸かっていきましょ~^^
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コメント
T.Yamada | URL | -
おはようございます。
ブログ閲覧の足跡?は設定しておりませんが、毎日閲覧しています。
我が家では、4年ほど前からかつお節は、節を削って食しています。削りたては、風味がよくとても美味しいものです。削っていると、子供は横から手を出して、全部食べてしまうこともありました。
( 2013年05月14日 06:47 [Edit] )
JAKUTAKU | URL | srF/8RA2
Re: おはようございます。
>T.Yamadaさん
こんばんは。
コメントありがとうございます
そうでしたか。いつもありがとうございます^^!!
足跡って設定できるのですね(・0・;
こんな長く使っているのに知りませんでした。
T.Yamadaさんのところでもかつお節を自分で削っているのですね。
ほんとうに削りたては、香りもいいし、それだけで美味さが倍になりますよね。
お子さんも小さいときから本物の味を知れて、幸せですね!
うちも昔は仕出し屋だったのでよく削っていましたし、小さくなったやつは醤油差しに入れておいて旨味を出して、最後はご飯とともに食べていました^^
いま考えると醤油を吸っているので塩からかったと思いますが、小さい頃は好物でした(笑)
T.Yamadaさんのお子さんも小さいときから本物の味を知れて、幸せですね!
( 2013年05月16日 00:15 [Edit] )
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